働き方"デザイン"研究所

せっかく働くのだから楽しくしたいよね。という考えのもと、知っておくべき情報を発信します。

求人票の見方と注意点【押さえておくべき4つの項目】

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こんにちは、knotです。就職・転職活動をする際に、必ず求人条件を確認すると思いますが、正しい見方をご存知ですか?

就職・転職活動において、

入社時にどのような労働条件になるのか気になりますよね。

「月収はどのくらいで、年収はどの程度見込めるのか」

「年間で休日はどのくらいあるのか」

「残業時間はどのくらいあって、繁忙期はいつなのか」

など、待遇や会社のルールが気にならない方は少ないのではないでしょうか。

今回は求人票の見方について、最低限知っておくべき4つの項目を解説いたします!

ハローワークの求人票を元にお伝えしますが、基本的に求人票の記載内容に大きく相違することはありません。今後就職や転職を考えている方はぜひ参考にしてください!

求人票の見方

まず初めに、実際の求人票の項目を確認してみましょう。

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引用:厚生労働省【求人申込書の書き方】より

画像の求人票は、ハローワーク(公共職業安定所)で利用されているサンプルとなりますが、

その他求人サイト・転職サイトであっても記載される事項にほとんど差はありませんので、

今回はこちらの求人票から押させておくべき4つの項目について解説いたします。

項目によっては細かい部分もありますが、人生を左右しますのでぜひ確認する癖を付けましょう!

A:月額給与

働く方が一番気になる項目は

月額給与かと思います。

生活をする上で毎月の収入は必要不可欠ですし、

就職・転職後の生活水準も決まりますので、真っ先に注目すべき項目になるでしょう。

この月額給与だけではその企業がブラック企業なのか、ホワイト企業なのか判断することは難しいですが、

自分と同年代の方がどの程度稼いでいるのかを基準にすると、その企業の立ち位置を判断する材料になると言えます。

国税庁の平成30年民間給与実態統計調査を参考に、平均年収および平均月収の表を作成しましたので、

単純に「このくらいの給与があれば、満足できる」という主観だけではなく、客観的な材料もぜひ考慮してみてください。

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また、求人票に記載されている月額給与については

税金を控除する前の金額になりますので、総支給額です。

手元に残る金額の目安は、総支給額×80%でざっくりと計算できますので、

求人票に記載されている金額が20万円とすると

20万円×80%=16万円が手取り金額と事前に計算した上で、応募するか考えましょう。

B:固定残業代

固定残業代とは、

残業をする・しないに関係なく、基本給等と併せて支払われる毎月定額の残業代のことを固定残業代といいます。

従業員からすると、残業時間が少なくても一定の残業代が支給されるためメリットがあるのですが、

導入している企業にとっては実はデメリットの方が多いのです。

企業が固定残業代を導入するメリットとして

  • 設定した時間内の残業時間であれば、残業代の計算をすることがないため手間が省ける

  • 年間の残業代がどの程度発生するのか試算しやすいため、人件費の予算が組みやすい

などを上げて解説しているケースもありますが、

そもそも固定残業代の制度は

「残業時間が発生していなくても、設定した時間分は支払う義務が生じる」

「設定した時間を超過した場合はその時間数分の残業代を支払う義務が生じる」

ことになります。

つまり、

固定残業制度を導入したとしても残業時間は集計しなければなりませんし、残業があってもなくてもその時間分は支払う必要があるため、人件費は圧迫されることになります。

従って、会社にはメリットのある制度と言い切ることは難しいのです。

ではなぜこのデメリットが目立つ制度を導入するのでしょうか?

企業が固定残業代を導入する理由

デメリットがあるにも関わらず、

固定残業代を導入する理由は総支給額を高く見せるためです。

【A:月額給与】にて表示される金額は、基本給だけでなく、各種手当て等を含めた金額です。

下記のような求人があると仮定すると、

  • 求人A:月給250,000円(基本給206,000円、固定残業代30時間分44,000円)

  • 求人B:月給220,000円(基本給220,000円、残業代は別途支給)

求人Aの方が給与も高く、一見魅力的な企業に感じますよね。そのため求職者からの応募増加を見込んでいるのです。

しかし実際の労働条件次第では、求人Bの方が高くなるケースがありますので

同じ労働環境で比較してみましょう。

月所定労働時間:176時間・残業時間:30時間・賞与:基本給×4ヶ月分の場合の比較
求人A 求人B
   基本給    206,000円       220,000円   
   残業代    44,000円       46,875円   
   月給    250,000円       266,875円   
   賞与    824,000円       880,000円   
   年収    3,824,000円       4,082,500円   

このように、実際に30時間残業をした場合、

求人Aでは元々固定残業代として支払われているため残業代は支払われませんが、

求人Bでは46,875円の残業代が発生することとなり、月給だけでも16,875円の差額があります。

また、賞与の計算についても基本給のみを計算対象とするため56,000円も異なり、

年収ベースでは258,500円と、同じ働き方をしているにも関わらず一ヶ月分の給与も差が出ることもあるのです。

固定残業代が導入されている求人を検討する際には、基本給も必ずチェックしましょう。同じ労働条件(労働時間や労働日数)の場合は、年収に差が生じることがありますので、注意してください!

C:労働/残業時間

この項目には、その会社での労働時間や残業見込み時間が記載されています。

働きやすさに直結する項目ですので確認しておきましょう。

特記事項(備考)には、繁忙期のタイミングや深夜残業の有無など、その他知っておくべき企業情報が載っている場合があります。

ただし、求人票にはあくまでも目安の数値が記載されていますので、面接の際等に質問をして会社の実態を確認することも意識してください。

労働時間や残業については質問がしにくい……と思うかもしれませんが、自分に合わない会社に入社していまう方が、早期退職などお互いに望んでいない結果になります。気になる項目はちゃんと聞いておきましょう!

D:週/年間の休日数

一週間の休日数とルール

まず一週間の休日数の欄を確認する場合は、

「週休2日制」「完全週休2日制」のどちらに設定がされているのか押さえておきましょう。

完全の文字以外は同じ表現なのですが、実は全く違う条件です。

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上記の表で解説した通り、

「完全週休2日制」は、毎週必ず2日間の休みがありますが

「週休二2日制」は月に1度でも週に2回の休みがあれば、該当することになります。

入社してから「あれ、日曜日しか休みはないんですか?」となったのでは時既に遅し、です。しっかりと違いを確認した上で応募することが大切ですね!

年間休日数は120日前後あるのか、105日前後なのかを確認する

また、この休日の制度以外にも確認すべき項目は年間休日数です。

日数を基準に、ブラック企業なのかホワイト企業なのか判断する場合には、

年間休日数が120日前後あるのかを一つの線引に置いておきましょう。

2020年のカレンダーで解説すると、土曜日と日曜日の数は104日、祝日は16日あります。

土日および祝日が休日となる会社の場合は、年間休日数は最低でも120日になり、ここにお盆や年末年始の休日が加わると120日を超えるケースがあります。

一方で、年間休日が105日というのは土日がほとんど休みになりますが、祝日やお盆、年末年始に休みが取れない計算になるのです。

もしくは、「土曜は毎月1回、祝日は基本的には出勤・日曜は全て休日」のケースもあります。

この内訳は、

日曜日は年間52日、土曜日は40日の休みです。ここにお盆や年末年始休暇など会社で定められた休日が13日あれば、

年間休日は52日+40日+13日=105日となります。

年間休日120日と比べると15日の差ですが、同じ給与にも関わらず2週間も労働日数が異なるのは不満も生まれるのではないでしょうか。

最終的には自分のやりたいことを軸に考えよう

今回は求人票の見方について、最低限押さえるべき4つの項目を解説いたしました。

今回のポイントをまとめると

  • 年収見込と平均相場を元に応募を考えている企業がどの位置にあるのか想像をする

  • 固定残業代が導入されている企業なのか、またその対象となる残業時間数はどの程度なのか

  • 年間の休日数と週に何日休めるのか

この辺りを押さえておくだけでも求人を出している企業の状況が、働きやすい環境なのか待遇面から測ることができます。

ただし、実際の職場環境や人間関係等は実際に入社するまでは当然分かりません。

その会社の仕事内容や、自分自身がやりたい事、何を会社に求めるのかを整理することが一番大切です。

求人票からどのような会社なのか判断することは難しいですが、どういった環境なのか想像することはできます。ぜひ今回の内容を参考に、働きたい!と思える会社を探していただければと思います。

【副業のいろは】隠れた副業は会社にバレる?バレない?

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こんにちは、knotです!副業をこれから初められる方で、こんなお悩みはありませんか?


副業に関するよくある3つのお悩み

・副業って会社に報告する必要あるの?

・副業禁止と言われているけれど、隠れてしたらばれるの?

・隠れてした副業がばれてしまった……クビになるの?


コロナの影響もあり、副業をこれから考えられている方も多いかと思います。

実際、昨年の統計にはなりますが

求人情報メディア・人材紹介サービス等の運営を手掛けるエン・ジャパン株式会社が、

自社を活用している求職者・10,207名に実施した調査結果によると、

41%が副業を希望。仕事満足度が高い方ほど、副業希望率も高い傾向。勤務先の副業容認度は23%に留まる。

【引用:1万人が回答!「副業」実態調査―『エン転職』ユーザーアンケート―】

と、実に4,000名を超える方が副業に興味を持っていることが分かります。

今年はコロナの影響もあり、多くの企業が賞与削減をはじめ給与が下がっていることもあり、

本業以外に収入源を確保したい方が増えていても、不思議ではありませんし、当然の流れです。

私もコロナきっかけに副業を始めましたし、この3つの悩みにぶつかりました(笑) 今回は自分の経験や知識を元に解説いたします!このモヤモヤを晴らして気持ちよく副業に取り組みましょう!


副業をする際に会社に報告する必要はあるの?

皆さんと会社は、労働契約を交わすことで就業時間中については勤務をし、その対価として給与をいただきます、

一方で、就業時間以外の部分については自由に過ごしていますよね?

例えば仕事終わりに、

  • 近くのカフェで友達とコーヒーを飲む

  • 資格の勉強をするために図書館に行く

  • 家に帰ってお酒を嗜む

プライベートはどう過ごそうが、その人の勝手と言えます。むしろ、詮索されたくありませんよね。

そのため会社に「終業後、こんなことをして過ごしました!」なんて報告する人はいないでしょう。

副業も、プライベートな時間に行うのであれば本来は報告する必要はないと考えるのが当然です。

しかしながら、副業については一定の要件を満たすことで

禁止にできたり、会社の許可制度にすることができるのです。

つまり、

会社のルールとして

禁止の場合は上司や会社に納得してもらう必要がありますし

許可制度の場合はきちんと事前の相談・報告が必要になります。

ちなみに、副業に関する法律は下記の記事で解説しておりますのでぜひご一読ください。

www.work-design-lab.info


副業禁止と言われているけれど、隠れてしたらばれるの?

禁止されていたとしても、収入面等から副業をする必要がある場合もありますよね。その場合は会社に隠れて副業をすることになりますが、2つの理由からバレてしまう可能性があります!

副業がバレる理由①「税金面」

まず副業がバレる要因として一番多く上げられるのが、

税金である住民税の取り扱いからです。

住民税とは、住んでいる地域に対して収めるものであり、年収に応じて税額が決定されます。

この年収には、

本業に対する給与だけではなく、副業等の他の収入で得た給与が合算されて算出されます。

そのため、自社の給与で計算されるべき住民税額よりも高い場合は、

給与計算担当者の方が、

「あれっ、この社員、会社でもらっている給料の割には住民税が高いから何か副業をしているな」

と気付いてしまうことになるのです。つまり、

副収入が増えれば住民税の請求金額も増えることになるので、本業の勤務先に副業していることがバレてしまうのです。

ちなみにこの住民税は、1月から12月の年収・収入に応じて計算され、翌年の6月から徴収が始まります。


副業がバレる理由②「人間関係や噂」

税金面以外では、人間関係によるものが考えられます。

同僚や上司に副業のことを知られてしまい、そこから会社・人事部等へ報告されてしまうパターンですね。

どれだけ信頼している同僚や上司であっても、会社のルール違反を見過ごしてくれるとは言えません。

他にも、

Uber Eatsやコンビニ等、人目に付きやすい副業の場合は、直接副業をしている姿を見られてしまう場合もありますので、

  • 信頼ができる同僚であっても喋らない

  • どのような副業をするのか整理する(人目に付かないのか、付いたとしても問題がないのか)

この辺りは考えた上で、副業に取組む必要があるでしょう。


隠れてした副業がばれてしまった……クビになるの?

就業規則や会社での風土によりますが、クビになる可能性も考えられます。

会社のルールを破った場合のリスク

まず、隠れて副業をするということは、就業規則等で定められている服務規律を違反すると言えます。

ではこの服務規律を違反した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

皆さんも働く上で「始末書」や「懲戒解雇」といった言葉を聞いたことがあると思いますが

これは服務規律違反として懲戒処分の一種です。

懲戒処分とその重さについては、次の通りとなります。

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副業による服務規律違反はどの重さ?クビになる?

それでは禁止されているにも関わらず、副業を行うとどのような処分が一般的なのでしょうか?

以前こちらの記事で、隠れて行った副業に対してクビ(解雇)の対処は無効とされた裁判を紹介しましたが、

それは隠れて行っていた副業が

「 副業によって職場の秩序に影響していなかった」

「本業への支障・影響がほとんどなかった」

ことが要因です。

実際に副業が原因でクビとなった事例を確認すると、

小川建設事件(東京地決昭和 57 年 11 月 19 日)

毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由とする解雇について、兼業は深夜に及ぶものであって余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、社会通念上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高いことから、解雇有効とした事案。


協立物産事件(東京地判平成11年5月28日)

労務者は、使用者との雇用契約上の信義則に基づいて、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないという付随的な義務を負い、原告の就業規則にある従業員の忠実義務もかかる義務を定めたものと解されるとしたうえで、外国会社から食品原材料等を輸入する代理店契約をしている会社の従業員について、在職中の競業会社設立は、労働契約上の競業避止義務に反するとされた事案。

上記2つの裁判は、

副業によって職場の秩序に影響がある

本業に支障・影響がある

とした上で、クビを合法と判断しています。

そのため、副業の内容によってはクビになってもおかしくはないのです。

副業をする場合はきちんとした対応を

副業がバレる理由や、バレたときのリスクについてご説明しました。

但し、本業に悪影響が無い場合の副業については、本来合法ですので、隠れて行ったとしても

すぐにクビになることは現実的には考えにくいと言えます。

しかしながら、賞与や昇給といった人事査定にはマイナスの影響は少なくないと思われますので、

副業をする際はきちんとガイドラインでの違法となる線引を踏まえた上で取り組みましょう!


重たい懲戒処分になる可能性が高い副業の性質

① 労務提供上の支障がある場合

② 業務上の秘密が漏洩する場合

③ 競業により自社の利益が害される場合

④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合


隠れてしても、あまり良いことはなさそうですので、禁止されていても「なぜ副業をするのか」「会社に悪影響はない」と誠意をもってお話することが大切ですね!

【ANA・副業拡大】今更聞けない?副業をする時の2つのポイント

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こんにちは、knotです。街中でウーバーイーツを見かけない日がほとんどありませんが、皆さん副業をしていますか?

Uber Eats、クラウドワークスやランサーズといったサービスも普及しておりますし、

アフィリエイト、輸入ビジネスといったパソコン一つで商売(サービス)ができる時代です。

国も副業解禁を謳い文句に、法改正の取り組みが進んでおります。

2020年の9月から、副業をしている人が仕事中に怪我(労災)をした場合、

その怪我が本業中・副業中問わずにその本業と副業の給与を合算して補償される金額を算定してくれることになりました。ただし、あくまでも他の会社で雇用されている場合の副業ですので注意は必要です。

とは言え、副業時に怪我をしても補償される金額が少なくなるリスクもなくなりましたので、安心して副業ができる環境になりつつありますね!

一方で、

  • 本業に支障がでる(=副業をせずにきちんと休まないと、仕事にミスが出る懸念がある)

  • 副業に時間を費やすくらいなら残業をして仕事を片付けてほしい

このような考え方から、「副業」について許容ができない会社に勤めている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実際、株式会社リクルートキャリアが行った兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)では、

f:id:lapislazuri33:20201011171354p:plain【引用:株式会社リクルートキャリア(「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)」より】

ようやく3割程度の企業で推進が始まっている状況です。つまり、まだ半数以上の企業では副業の解禁について足踏みをしているのです。

そんな中、2020年10月9日に、

日本の最大手航空会社であるANAが「社員の副業を大幅拡大へ。他社で雇用契約OK」

ニュースに取り上げられたことはご存知でしょうか?

今までANAでは個人事業主として勤務時間外での副業を認めていたとのことですが、今回その副業ルールを見直すことで、

他社と雇用契約を結ぶことについても許可する方針になったのです。

法改正に加えて、大企業のこういった動きを見ると副業解禁の時流であると再認識できますね。


まだまだ広がりを見せる副業について、今回は改めて知っておくべきルールや3つのポイントを解説いたします!



副業をとりまく法律と考え方

意外と「え、そうなんですか?」となるのですが

副業については法律上は禁止されていませんし、原則会社側が禁止することもできません。

「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」

日本国憲法第22条:職業選択の自由

この「職業選択の自由」は、自分が従事する職業を自由に決めても良い、という意味でありもちろん副業についても同様とされています。

憲法で定められている以上、会社側が従業員に一方的に副業を禁止することはできないのです。

ここまでの内容を踏まえると「それなら、何の躊躇いもなく副業ができる」と思いつつも

「約7割の企業が副業解禁を躊躇してるってあったけど、それって法律違反?」と疑問が浮かびますよね。

この解説は、従業員・会社といった各々の立場で考えることで整理がしやすくなりますので、

まず副業について働く人の目線会社側での目線で考えたいと思います。

「働く人の目線」での副業

副業をやりたいと思う人は、

やっぱり一番は副業で「収入UP!」

稼ぎながら 自分のために「スキル向上」

好きなことも仕事に?「自己実現!」

このように、自分自身への投資・リターンが望めますので、非常にメリットがある話ですよね。

デメリットを上げるとすると、疲労の蓄積や自由時間が減ることが考えられますが、

そもそもこの辺りで頭を悩ませる方は副業をやろう!と思わないでしょう。

「会社側の目線」での副業

次に、会社側の目線でメリットを上げるとすると

副業経験を本業に活かすことで「売上向上!」

副業OK=柔軟な働き方のアピールによる「企業のブランディング!」

従業員の不平・不満を解消して「離職防止・人材確保!」

が考えられます。

「こんなにメリットがあるのになぜ私が勤務している会社では副業を禁止しているの?憲法でも禁止してはいけないのに……ますます分かりません……」

おっと、ネガティブになって副業OKの会社に転職を考えてはいけません!

冷静になり、少しだけ会社の内情に踏み込んで「会社目線」でのデメリットに注目することが大切です。

会社側の言い分としての「副業禁止」

会社が副業を認めた場合のデメリットとしては、

  • 自社での仕事がおろそかになってしまうのではないか?

  • もし副業先が競業他社であったり、取引先との利益相反になる場合は情報漏洩リスクがあるのではないか?

  • 副業をすることで長時間労働・過重労働になってしまい、健康を損なうのではないか?また労災の責任はどうなるのか?

このように事業をする上で非常に悩ましいものばかりではないでしょうか。

本業先である皆さんの会社がこのデメリットの影響により経営ができなくなったとなると、仕事がなくなってしまい解雇になる未来も考えられますので、

会社側が副業を禁止する言い分は、ある程度理解できる内容かと思います。

メリットよりもデメリットのほうが気がかりで、副業解禁に踏み切れないのが現状なのかもしれません。

だからといって、憲法を無視してもいいのか?矛盾してない?とこの問題は堂々巡りしてしまいます。

この矛盾のカラクリは、

先程のデメリットが合理的であると判断できる場合には、会社のルールとして副業を禁止にできるのです。

厚生労働省から出されているガイドラインでは、従業員が本業先で働く時間以外(=プライベートの時間)について基本的に自由に過ごすことができるとした上で、

例外的に副業を禁止・制限が認められるケース

① 労務提供上の支障がある場合

② 業務上の秘密が漏洩する場合

③ 競業により自社の利益が害される場合

④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

上記のような場合には禁止しても良い、と決められているんですね。

本業の会社で雇用されている以上は、その会社に不利益な事が起きないように、しっかりと本業に集中してください。ということですね……

では、会社のルールとして副業が禁止されている場合は、絶対に副業をしてはいけないのでしょうか?

そんなことはありません。副業禁止を巡る裁判例としては、

東京都私立大学教授事件(東京地判平成20年12月5日)

【概要】

教授が無許可で語学学校講師等の業務に従事し、講義を休講したことを理由として行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められず、解雇無効とした事案。

【判決抜粋】

兼職(二重就職)は、本来は使用者の労働契約上の権限の及び得ない労働者の私生活における行為であるから、兼職(二重就職)許可制に形式的には違反する場合であっても、職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しないものと解するのが相当である。

上記の裁判は「 副業によって職場の秩序に影響していなかった」「本業への支障・影響がほとんどなかった」ことが認められて、

副業禁止ルールに違反したとして会社からの懲戒解雇は、無効であると判決が下っております。

会社に相談することは当然必要ですが、まずはその前に2つのポイントを押さえておきましょう!

これだけは押さえる!副業前に確認するべき2つのポイント

就業規則を読み、会社でのルールを確認する

まず1つ目のポイントですが、

就業規則上での会社のルールを再確認することです。

具体的には、下記の項目を押さえておくことで副業に関する環境が大きく変わります。

上司が副業を禁止と言っていても、実は規則上は問題なかったり……のようなケースもありますので自分の目で確かめてみましょう。

自分がやりたい副業はどんなことなのか

就業規則で副業が禁止されている場合、その条件を守ることが従業員に課せられている義務になりますので

原則守らなければいけません。

一方で、副業については会社のデメリットに該当する場合には禁止することができる、と解説しましたが、

裏を返せば、そのデメリットに当てはまらない副業については禁止することができないのです。

そのため本当に副業をしたい場合は、まずその副業がどういった内容なのか確認しましょう、

この各チェックボックスを問題ないと判断できる場合は、副業によって会社側にデメリットがないと言えますので、認めてもらえる可能性は高くなります。まずは自分の副業についてしっかりと考えた上で会社を説得しましょう!

ルールを守って正しく副業を

冒頭で取り上げたANAが副業を広げる背景には、

コロナによる業績悪化の影響で給与の減額の見込みのため、社員の収入を確保を狙っているようです。

大手企業では、従業員数も多いため管理下に置くことが難しい(=副業を認めにくい)と考えられるのですが、

今回のニュースをきっかけに、ぜひ他の企業でも副業を推進してほしいところです。

今回は副業を取り巻く法律と、2つのポイントを解説いたしました。それでも「会社に相談しても禁止の一点張りで、仕方ないので隠れてします」となる方もいらっしゃるかと思います。その部分についてはまた解説いたしますので、楽しみにしていただけますと幸いです!

出張×出張×出張!繰り返す始発と終電、これって残業時間にならないの!?

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こんにちは、knotです。出張って楽しいですけど、長時間の移動は疲れますよね。

コロナ渦において、まだまだ油断は許されない状況ですが、

経済は再度動き出しております。

コロナの感染拡大や緊急事態宣言等の影響を受け、ここ数ヶ月ずっとWEB会議やテレワークをされていた方も、

会社への「出社」やクライアント先への直行直帰する「出張」のような従来の働き方に戻っていると思います。

私も夏までは出社が禁止されており、テレワークオンリーで可処分時間が増えておりました。

※薔薇色なテレワークをしていたときの記事がこちらです。よければぜひご一読ください! www.work-design-lab.info

しかしその薔薇色のテレワーク環境から一変、ついに出社・出張命令が出たことで薔薇色から灰色に変わりつつあります。

出社するには当然自宅から会社への通勤時間は必要ですし、

それに加えて「スーツに着替える時間」「駅のホームで電車を待つ時間」といった移動そのものではないにしろ

会社に行くまでに必要な時間があります。このような時間って、関節的には会社で仕事をするために必要な行為ですので、正直この時間、無駄というか……本音を言うと給与が欲しいというか(笑)

私は家から会社まで、片道約1時間程度必要ですので、テレワークが快適だった反面早くもダウン間近です。

出社だけでなく、出張も解禁されましたので、久しぶりに始発・終電での移動をしました。WEB会議の日々が恋しいですね……

テレワーク前は何も考えずに出社や出張をしていたのが、やはり一度快適な環境に慣れてしまうと気になってしまいます。

今回は「そういえば出張や出社での移動時間って、会社から命じられていることだけど労働時間にならないのか?」基本的な考え方について解説いたします。



そもそも出社するための通勤時間って何なの?

皆さん、日々当たり前に出社していると思いますが、この通勤時間に疑問を持ったことありませんか?

家から会社まで5分で移動できる方もいれば、片道1時間以上かけて通勤される方もいるかと思います。

元同僚がほぼ2つの県を跨ぐため、おおよそ2時間弱かけて毎日会社に来ていました。私の知る限り、一番長い通勤時間です。大雨とか台風で電車が止まっていると、自腹で新幹線通勤していたとか……。

私も最近早朝のミーティングのために朝5時に起きて、6時に家を出て、7時に会社に着く。このような生活をしている中で

「会社からの命令で早く起きて、家を出ているのに、この通勤時間も労働時間にしてくれないかな?」と苦言を呈したい気分になっています。

当然、労働時間にならないことは承知の上ですが。

そもそも会社への通勤時間というのは、働く準備のための行為とされておりますので、

会社側から「この仕事をするように」と指揮命令を受ける前となります。そのため働く義務を提供する前の段階になりますので、

通勤時間は労働時間にならないのです。

確かに、通勤中とはいっても、時間が許すのであればカフェで一息ついたり、コンビニに寄ったり自由に過ごすことができますよね。自由時間が確保されている以上、働いていると言えないということになります。

実際に過去の裁判でも、

従業員が会社の提供するバスに乗り、寮と就業場所を往復する時間について労働時間に該当するのかどうかを争っており

「寮から各工事現場までの往復の時間はいわゆる通勤の延長ないしは拘束時間中の自由時間ともいうべきものである以上,これについては原則として賃金を発生させる労働時間にあたらないものというべきである」

(高栄建設事件東京地裁平成10年11月16日判決)

と、通勤方法時に一定の拘束を受けていたとしても会社の指揮命令下におかれているとは言えない=労働時間に該当しないと判断されました。

この裁判では会社が提供していたバスでの出社なので、自家用車や公共交通機関での出社に比べて一従業員は制限を受けているにも関わらずの結果ですので、通勤時間を労働時間だ!と主張するのは難しいでしょう。

会社から「この時間に来てね!」と指示をするのだから、少しは労って欲しいのが本音です。

強制的に始発と終電。出張時における考え方とは?

通勤時間については、基本的には労働時間ではないと解説いたしましたが、

では出張についてはどのように考えられるのでしょうか?

コロナ前だと出張も多く、毎日始発・終電で東京や大阪、名古屋を行き来しておりました。テレワークをしていた今では効率がめちゃくちゃ悪いような気もしますね……

出張の場合は

  • 普段とは異なる勤務で働くことを命令されている

  • 当然、その勤務場所に移動する必要があり、会社から指示を受けていることになる

このように考えられるため、

一見、出張時の移動は会社からの指揮命令を受けている=労働時間になるのでは、となるのですが、

実はこの解釈については非常にシンプルで

新幹線や飛行機への乗車中に、物品や乗客の監視・管理など、果たすべき業務があるか?

目的地まで単に乗車しているだけなのか?

この2つのどちらに該当するのかによって判断をすることになります。

具体的には、

移動時間中に対応すべき業務がある場合

仮に、出張の移動時に業務の性質があるのであれば、労働時間となります。 具体的には、この移動時間中に上司から資料の作成を依頼される場合や、物品(現金や有価証券、機密書類等)の監視等を指示されている場合です。これは移動時間が運搬などの目的を遂行していると考えれられますので、交代要員がいてその業務から解放されるとき以外は、原則として労働時間にカウントされます。


目的地までの乗車のみである場合

出張先に行くために、新幹線、バス、飛行機に乗って往復しているような場合です。この乗車時間については乗り物から降りて自由行動ができないため拘束時間と言えます。しかしながら、仕事をしていない点では休憩時間と同様の考え方になり、労働時間にカウントされません。行動の制約はあるにしろ、自由に休憩を取ることができるので、休憩時間と同じ性質の時間として取り扱っても差し支えがない、という考え方になります。

このような取り扱いになりますので

結論、移動時間も働いているのか、働いていないのかという判断になる訳ですね。

出張のために始発と終電を繰り返していましたが、1円にもならない……悲しい現実です。テレワークに戻してください

移動時間は有意義に過ごそう

通勤や出張時の移動時間について、労働時間に該当するのか否か解説いたしましたが、

基本的には労働時間と取り扱ってくれません。

通勤に関しては、住まいを自分で決められる以上(会社との距離を自由に決められるという観点)、

通勤時間がどの程度掛かるのかはその人の選択になりますので、通勤まで労働時間になると不公平感が生じるのも否めません。

一方で、会社から命令された出張の移動時まで労働時間にならないのは切ない気持ちになります。

移動時間は仕事をせずにブログの執筆や読書など自分のために使おうと思います……。

【働く上で絶対注意!】ブラック企業の定義とは

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こんにちは。knotです。突然ですが、皆さんはブラック企業についてどんなイメージを持っていますか?

就職活動や、転職活動をする際、応募先の企業がどういった環境なのか気になりますよね。

企業の特徴や業務内容だけでなく、職場環境・雰囲気や給与・福利厚生といった労働条件を調べることは当たり前になりつつあります。

また、実際に自分が働いている会社の労働条件や給与待遇について「これって他の会社に比べてホワイト企業?ブラック企業?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。

OpenWorkのような企業に関して従業員からのクチコミを提供しているWEBサイトも普及しており、今まで以上に企業の内情については透明化が進んでいるため、

検索エンジンで「◯◯会社 ブラック企業」や「◯◯会社 口コミ」のように調べる方も多いのではないでしょうか。

今回はその中でもブラック企業にフォーカスを当て、どのような企業がブラック企業と言われているのか、実体験を元にお伝えいたします。



ブラック企業の定義

まず初めに、

どのような会社が「ここはブラック企業だ!

となると思いますか?

実は、法的には明確な定めはないのです。

一方で、行政見解の参考として

厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として

① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す

② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い

③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

などと言われています。

引用元【厚生労働省:確かめよう労働条件「ブラック企業」ってどんな会社なの?】より

とされております。つまり、

  • 毎日終電近辺まで働かされている、到底達成できそうもないノルマが課せられている
  • 給与が支払われていなかったり、上司から当たり前のように罵詈雑言を浴びせられる

このような環境を改善するのではなく、むしろ働くことを強要する企業がブラック企業と言えそうです。

長時間労働=ブラック企業?

長時間労働も確かに大変です。心身ともに疲れ果てます。

私も100時間以上残業をしたり、始発と終電を繰り返したりと長く働いた時期もありますが、ストレスで通勤時に動悸が止まらなかったですね

それでも私の経験的には、

注意すべき点は②「賃金不払残業」ではないかと思っております。

その前に、

① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す

ではない理由ですが、

極端な長時間労働=80~100時間であれば、要件を満たせば法律違反にはなりませんし、

ノルマについては未達の場合の制裁(懲戒関係)や、パワハラにならない以上は線引が難しいためです。

加えて、両方の場合において「給与が支払われている」とするならば、法律違反にならない可能性は高まります。

要件を満たせば1ヶ月に100時間近く残業が発生したとしても法律上は問題ありません。1日4~5時間弱の残業……見るからに長時間労働ですけど法律上はOKです。最も、要件を満たせていなければブラックそのものなので気をつけて下さい

注意すべき点は賃金不払残業

ではなぜ「賃金不払残業」に注目するのか。

一言で表せるのですが、

法律違反が明確だから」です。

賃金不払残業=サービス残業となっている、状態ですが、

法律上で残業代は1分単位で支払わなければいけません。

※詳しくはこちらの記事にて説明をしておりますので、ぜひご一読ください。 www.work-design-lab.info

そのため、要件を満たせば問題になりにくい長時間労働等に比べて、

明らかに気をつけなければなりません。

とはいえ、賃金不払残業には下記のようなケースおよび理由が考えられます。

企業側に残業代を支払う経済的体力がない場合

この場合は判断が難しく、中小零細企業においては特に発生がしやすい問題です。資金繰りが苦しい状況では、残業代を満額支払うことで経営がより圧迫され、万が一倒産にでもなると雇用(従業員)も守れなくなります


元々残業代を支払う考えがない場合

上のケースに比べて、説明をする必要があるのか疑問に思うほど、明らかに悪質です。真面目に働かず残業代目当てで働く従業員がいる場合等は擁護もできますが、給与を支払わない方法以外で対処すべき問題です。


以上から、法律違反を知った上でサービス残業が当たり前になっている(当たり前にさせている)企業が、ブラック企業と言えるのではないでしょうか。

違和感を覚えたらすぐに専門家に相談を

今回は厚生労働省が運営しているサイトを元に、

ブラック企業の定義について考えましたが、

労働環境については気をつけなければならないポイントが他にもあります。

そのため

「これってサービス残業じゃないの?」「毎日終電だけど、このままで良いのかな?」

と違和感を覚える働き方があれば、

ぜひ専門家にご相談ください。

労働条件相談「ほっとライン」|厚生労働省

ブラック企業への対策として、厚生労働省が委託事業として設置している電話相談窓口です。長時間労働や賃金不払残業等、様々な労働問題について無料で専門家に相談できます。平日夜間だけでなく土日・祝日も相談が可能なため、日々仕事に追われている方であっても相談がしやすい窓口と言えます。

【参考リンク:労働条件相談「ほっとライン」|厚生労働省】

現在、ブラック企業診断の記事も鋭意執筆中ですので、ぜひ楽しみにお待ちいただければ幸いです

サービス残業!認められない残業と改竄されたタイムカード【ワタミ問題】

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こんにちは、knotです。実録シリーズの中でもブラック企業の深さが伝わる、 サービス残業の実態についてお話いたします。

最近では、ワタミでの長時間労働の末の未払い残業について報道がありました。

「ホワイト企業」宣伝のワタミで月175時間の残業 残業代未払いで労基署から是正勧告

こういった報道の背景には、企業における長時間労働や、未払い残業代がまだまだ根付いているからと言えるでしょう。

私も80時間を超える残業をしたにも関わらず、残業代がほとんど支払われなかった経験があります。

社会保険労務士の資格を持って、その資格を活かしてほしいと転職した先が、まさかのブラック企業という経歴です(笑)

今回は残業代のルールと企業側の考え方(言い訳)についてお話いたします。



残業時間の考え方

違和感のある残業申請時のルール

前提として、残業時間というのは会社で定められた所定の労働時間(一般的に7時間とか8時間)を超えた場合にカウントされるものです。

この労働時間や残業時間をカウントするために、タイムカードや勤怠システムに

会社へ出社・退社した際に打刻することが一般的かと思います。

前職ではこの打刻だけでなく、

毎日残業時間があるのか、あるのであれば何時間なのか、上司に申請をしておりました。

タイムカード上の時間だけでなく、自ら「残業をした」と上司に申請をするため、

きちんと残業時間の管理をしているように感じますが、

残業申請時の2つのルールがブラック企業感満載の内容でした。


よくあるブラック企業の特徴

残業申請をする際に、従業員側に求められていたルールの

まず1つ目が

定時から1時間を経過しなければ残業時間と扱わない

定時が18時だったため、19時を過ぎるまでは残業時間とならないものでした。

理由は、雑務や帰り支度といった時間があるため、とのこと。

そのため18時55分に仕事を終えたとしても、申請をすれば

「19時を過ぎていないから、この申請は取り下げておく」

当然のように却下をされます。

ただし、変わった点があり、19時5分に退勤をする場合は1時間分の残業が計上されます。

帰り支度等、5分もかからないのでこの1時間については単なるサービス残業の命令としか思えません。

そして2つ目は

以降は30分毎に残業時間とし、30分未満は切り捨てる

1つ目のルールと類似していますが、30分単位でしか残業時間と扱わないものです。

つまり、19時以降であっても、30分を一つの目安として扱われるため、

19時55分に退勤しても1時間30分と計算されることになります。

簡単にまとめると、下記のようになります。

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備考欄のサービス残業を見ると、ブラック企業感が満載です。

この時点で、法律的に問題あると思われる方が多いと思いますが、実際にはどうなのでしょうか。


法律上の残業時間とは

結論、法律上は残業代は1分単位で支払わなければいけません。

労働基準法では、

働いた時間分の報酬(給与)の支払いを義務付けており、会社側の都合で控除することは法律違反となります。

そのため残業時間は1分単位で計算するのが原則的なルールとされています。

「30分単位で計算する」や「定時から1時間未満の場合は切り捨て」というやり方は当然認められません。

労働に対する対価を支払っていないことになります。

例外として、残業時間を1ヶ月間集計し、その合計時間に対して30分単位で四捨五入をすることのみ認められています。

労働基準監督署の調査では、実務上15分単位は許容範囲であると耳にしたこともありますが、

きちんと支払うべきものは支払ったほうが良いですね。


給与明細書上は45時間の記載に

改竄される理由

さて、残業時間の集計について解説いたしましたが、支払いについてもとんでもない出来事がありました。

入社時の雇用契約書から80時間分のみなし残業手当が支払われておりましたが、

(本来は20時間分のはずなのですが、詳しくはこの記事からどうぞ) www.work-design-lab.info

80時間を超えなければ残業手当が支払われない=80時間を超えると支払われなければいけません。

にも関わらず、80時間を超える残業をした月の給与明細には45時間分の表記が。

当然、残業手当は0円となっていました。

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どういったロジックで、このような計算が行われていたのでしょうか?


会社側の考え方と法的な問題点

計算方法は簡単で、

  • 残業代を随時支給しては、会社の資金繰りに影響がある

  • 80時間を超えた部分については、賞与にて調整をする

  • みなし残業時間を超えた部分の表記があると、労働基準監督署の調査に引っかかるため、明細上から消している

とのこと。

会社側の言い分としては、3つ目の「労基の調査から逃れるため」が一番の理由かと思います。

どういった理由であれ、そもそも残業代は毎月出さなければ違法です。

賃金の支払いについては法律上で

【毎月1回以上定期払いの原則】

賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。したがって、「今月分は来月に2か月分まとめて払うから待ってくれ」ということは認められませんし、支払日を「毎月20日~25日の間」や「毎月第4金曜日」など変動する期日とすることも認められません。

引用【労働基準法第24条】

このように定められており、毎月きちんと支払う義務が課せられているのです。

賞与で残業代を調整します、という話も問題点は多く、

  • どこまでが査定上の金額なのか

  • 残業代を考慮した査定になっているのではないか

といった懸念点がでてきてしまいます。

ある程度まとまった金額が賞与として支払われましたが、ほとんどが残業代だったのではないかと今でも思っております。

会社側の考え方は違法な場合が多いので、残業代が支払われていない場合は気をつけてください。

私語って違法?職務専念義務と減給

f:id:lapislazuri33:20201004114527p:plain こんにちは、knotです。

突然ですが、

働く中で、このような疑問を持ったことはありませんか?

  • お昼休憩とは別に、黙認されているたばこ休憩の存在……その時間は仕事ではないのだろうか

  • 日中に雑談ばかりをしているために夜まで残業……雑談をしている時間も働いた方が良いのでは

働いていると、こういったシーンを目にすることも日常茶飯事かと思います。

会社に勤めるということは、働く対価に給与をいただくことになります。

では、働かなければどうなるのでしょうか?同僚と何気ない雑談の時間は、働いているとは言えませんよね。

今回は私が前職(こちらの記事)の企業にて体験したお話になります。

www.work-design-lab.info

この会社では、私語(真面目に働いていないと見做される場合)に対して非常に厳しく対処されており、

私語が多いと給与から差し引く減給に近い対処をしておりました。

仕事中に私語が多いというだけで減給されるのは問題がないのか解説いたします。



ブラック企業における給与の考え方

なぜか控除された給与とその理由

私は人事・労務管理の部署にいたため、他部署の同僚より働き方や勤務ルールについて相談を受けることが多々ありました。

「この欠勤控除って何かわかる?」

同僚から給与明細書を差し出され、内容のチェックを依頼されてのですが、

【欠勤控除*1】の項目に数字が。

「今月、一度も休んでもいないし、遅刻も早退もしてないのに給与から引かれてて……」

確かに、同僚の給与明細書は出勤日数・労働時間ともに問題がなかったため、欠勤控除が発生することは不可解でした。

そのため上司にどういった理由なのか質問をしたところ

私語が多かったから、その時間分を欠勤とみなして控除する」ように社長より指示があった

と、耳を疑う回答をいただきました。

そして続けざまに、

「別に職務専念義務を守っていないのだから、給与から差し引いても問題ないだろ?」


職務専念義務とは?

法律的に決まりはあるのか

皆さんは、

この職務専念義務という言葉を聞いたことはありますか?

職務=仕事に専念をするという意味になりますが、

会社に雇用されている以上は職務専念義務を当然に果たさなければいけない、と言われています。

元々、公務員に適用される法律(地方公務員法)に、

地方公務員法第35条(職務に専念する義務)

職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

と定められていますが、

民間企業に適応される労働基準法や労働契約法には明確にされていません。

ただ、企業と雇用契約を結ぶ=指示に従って労働を提供しなければなりませんので、

職務専念義務が課せられていると考えられます。

そのため、仕事中に私語をすることは職務に専念していないと判断される可能性があります。

ただし、給与から差し引くのはやりすぎ

とは言っても、今回のケースは私語の時間分を欠勤扱い。

明確に欠勤と区別するには、

  • 会社側が指定する労働日に対して出勤ができなかった(例:1日休んでいた)

  • 勤務時間中に、明確に職場から離れている(例:病院へ行った)

といった基準を目安にする必要があります。

常識的な範囲の時間内で職場を一時的に離れるのであれば、従業員は使用者の指揮命令下(指示があればすぐに仕事に取り掛かることができる)にあると判断ができますので、

冒頭で例に上げた「タバコ休憩」や「同僚との雑談をしている」ような私的行為の時間についても、労働時間と考えることができるのです。

従って、給与を減額することができず、私語をしていた時間についても支払う必要があります。

※労働時間については、こちらの記事で解説しておりますので、ぜひご一読ください。

www.work-design-lab.info

裁判となった事例

業務時間中における私的行為を労働時間とみなすのか、

参考になる裁判例としてドリームエクスチェンジ事件があります。

この裁判では、

仕事中の過度の私的なチャットの利用は懲戒解雇事由に相当するが、費やした時間は労働時間なのかを論点として争われております。

驚きの結論から申し上げると、

  • 1日当たり300回以上、時間にして1時間から2時間程度も私的なチャットをしていた(概算)
  • 職務専念義務に違反していることを認めた上で、このチャットの時間についても労働時間に該当する

と判断がされております。

ドリームエクスチェンジ事件

チャットの私的利用は、使用者から貸与された自席のパソコンにおいて、離席せずに行われていることからすると、無断での使用外出などとは異なり、使用者において、業務連絡に用いている社内チャットの運用が適正になされるように、適切に業務命令権を行使することができたにもかかわらず、これを行使しなかった

私語として許容される範囲のチャットや業務遂行と並行して行っているチャットとが混然一体となっている面があること、そのため明らかに業務と関係のない内容のチャットだけを長時間に亘って行っていた時間を特定することが困難であることを考慮すれば、所定労働時間外になされたチャットについても、Y社の指揮命令下においてなされたものであり、労働時間に当たる

参照:東京地裁平成28年12月28日・労経速2308号3頁


私語と、仕事

私的なチャット行為を1日で2時間もしているにも関わらず、労働時間の判断がされているのは逆に会社が不憫に思いますが、

少しでも業務命令ができる環境下においては、きちんと業務命令をしなかった会社側にも落ち度があると言えます。

私が務めていた会社では、些細な私語の時間をカウントするだけでなく、恐らく過剰に計算されていたと考えられますし、私語について注意や業務命令は特にされておりませんでした。

確かに業務時間中に私語をするのは、集中できていない証ですので良くはありませんが、

コミュニケーションの一環として必要な場面も当然出てきます。

実際、私も業務時間中に無言なのか、と聞かれると全然喋りながら仕事をしてるときもあります(笑)

ただ、会社によっては厳しく管理をしているケースもありますので、節度を持って私語(仕事)をしましょう。

*1:ノーワーク・ノーペイの考え方により、欠勤時、つまり働いていない時間について給与から差し引く制度

入社したら基本給が13万円!内定通知書より7万円も低かった雇用契約書

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こんにちは、knotです。 アルバイトや社員としてとして採用されたときにいただく雇用契約書って、貰ったときワクワクしませんか?

私は現在2度転職をしていますので計3回雇用契約書を交わしているのですが、いつもワクワクしていました(笑)

今回はそんな雇用契約書を題材として

実録!働く中で本当にあった怖い話

第一弾を皆様にお伝えしたいと思います。

入社前に内定通知書にて提示されていた金額よりもなんと

7万円も基本給が下がっていたお話です。

今でこそ、お酒の肴になりますが、当時は本当にブラック企業ってあるんだなぁと絶望をしていました(笑)

今回の話を通じて、

入社前に提示されていた給与と、実際に入社した際に渡された雇用契約書で金額が異なっていた場合について法律的にどうなのか?を解説いたします。


基本給が20万から13万へと変更されていた衝撃

入社の経緯

私は人事・労務管理部へ、とある地方の中小企業に転職しました。

元々金融期間で法人営業をしていたため、

人事・労務管理については未経験ではありましたが、

国家資格の社会保険労務士の試験に合格していたことが評価され、経験者と同様の待遇にて採用いただきました。

そのため、転職エージェントを経由していただいた内定通知書には、

 基本給:20万円

職務手当: 3万円*1

とのこと。

求人に応募した段階では、未経験者は基本給18万円・職務手当2万円でしたので、中々の高待遇に嬉しく、この会社で人事・労務管理についてマスターしようとやる気に満ち溢れていました。

そして、希望とやる気を掲げ入社日を迎え、その時は突然やってくるのです。

何もしていないのに 給与が下がった

初めての転職だったため、少し緊張をしつつもオフィスへ出社。

午前中は挨拶回りや、施設の案内、基本的な業務のスケジュールの説明を受け、

早速馴染めそうな雰囲気に安堵したのを覚えています。

そして午後一番に、

私の上司となる人事部長より「雇用契約書を取り交わすから、役員室へ」と声がかかり、

これで正式にこの会社の一員になるのだなぁとしみじみしながら社長の元へ。

「knot君の雇用契約書です。基本的には転職エージェント経由で伝えていた通りだけど、確認してサインを」

そう言われて、社長から受け取った雇用契約書には衝撃の文字がありました。

 基本給:13万円

職務手当:10万円*2

一瞬時が止まり、私の目が丸くなっていたことに気が付いたのか、

同席していた人事部長(これから私の上司となる方)より

「基本給と職務手当の金額が少し変わっているけど総支給は変わらないから」

7万円の差額は「少し」違うどころではないし、違法なのでは?あれ、ブラック企業に入社した?とこれまた衝撃発言に頭の中は真っ白に。

そもそもの経験者どころか未経験者採用の基準にも届かない金額です。

これ以上頭は全く回らずに、言われるがまま雇用契約書にサインをしたのでした。


全く大丈夫ではない雇用契約書とその裏側

なぜ給与が下がったのか?

雇用契約書にサインをしてから数週間。

まさか人事・労務管理に関する業務にあたる自分が、ブラック企業に入社したのでは?というモヤモヤは晴れず、

鬱蒼とした気持ちを抑えながらも仕事に取り組んでいました。

初めての仕事もペースを掴むことができ、上司と雑談をするくらいには職場の雰囲気にも慣れてきたので、

思い切って雇用契約書の件を質問してみたところ

残業代を抑えるためにそういう措置を取ってるんだ。80時間を超えた分はちゃんと支給するから心配しないで」

いやいやいやいや!支給するからとかそういう問題じゃないから!80時間以上残業したら過労死するから!

ちなみに求人情報と異なっていたのは、基本給13万では応募が来ないからだそうです。

社会保険労務士の資格を取得した私が入社した企業は、初日からブラック企業全開でした。


法律上は問題ないの?問題あるの?

結論から申し上げると、問題はあります。

その根拠は、求人票に記載された内容と実際に締結する雇用契約書の内容が相違する場合、説明責任が生じるからです。

【福祉事業者A苑事件】
求人票に記載されている労働条件が採用後の労働契約の内容と認められた事例

「求人票は、求人者が労働条件を明示した上で求職者の雇用契約締結の申込みを誘引するもので、求職者は、当然に求人票記載の労働条件が雇用契約の内容となることを前提に雇用契約締結の申込みをするのであるから、求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情のない限り、雇用契約の内容となると解するのが相当である」

参照:京都地判平成29年3月30日労働判例1164号44頁

こちらは地方裁判所になりますが、求人票と実際の労働条件が異なった際、裁判上ではどのように判断されるのか参考になります。

結果的にこの裁判では、

特別の事情がない限り、雇用契約の内容となると解する と言われております。

特別の事情については、

1. 面接時に実際の労働条件が求人票の内容と異なることについて、使用者より説明がされているのか(説明がされていない場合、基本的には求人票に記載された労働条件が雇用契約の内容になる)


2. 労働者、使用者の合意により労働条件が変更されるとき、変更によって労働者に発生する不利益の内容や、労働者が同意するに至った経緯や背景

が関係するものと推察できますが、

私の場合は

  • 面接・内定後の面談において条件が変更されることを説明されていない(契約書の締結時に初めて通知された)

  • 求人票の内容だけでなく、内定通知書上の採用条件(採用時の基本給や職務手当の金額)とも相違している

ため、違法と言えるでしょう。これから人事労務に携わるのに、自分の労働条件がブラックなことにびっくりでした。

契約したら後の祭り?気になる条件についてはサインの前に確認を

とは言っても雇用契約書にサインするということは、

提示された労働条件に合意することになり、その内容で勤務をするしかありません。(波風を立てたくない場合)

内心では、すぐに労働基準監督署に行くつもりでしたが、ブラック企業での人事・労務管理ってどうなのか?勉強になるのでは、という好奇心に負けてしまいました(笑)

ただ月に80時間を超える残業は時々あり(別の部門では常に超えていました)

会社の言い分は鵜呑みにしてはいけないと勉強になりました。

給与の金額が違うことは極端かもしれませんが、

「残業はないと求人票に載っていたのに、実際は残業があった」

「通勤手当は全額と聞いていたが、実際には距離に応じて計算されており全額出ていなかった」

このような場合もあると思いますので、

これから求職活動をされる方は求人票と雇用契約書の内容がどのようになるのか、サインをする前にぜひチェックしてみてください。

*1:約20時間分の固定残業代として支給

*2:約80時間分の固定残業代として支給

ビジネススキルを一歩向上!――KGIとKPIとは

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こんにちは、コンサルタントのknotです。

ビジネスの現場では

「KGI」や「KPI」

という言葉を耳にすることがあるかと思います。

しかしながら「頭では分かっていてもどう説明をしていいのか分からない」「そもそも設定の仕方や使い方がわからない」といった悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか。

今回は「KGI」「KPI」の意味や使い方について解説いたします。

KPIとKGIの基本のき

KPIとは

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KPIとは設定した目標=ゴールを達成するために、

途中で確認をするべき道筋と言えます。

進んでいる道筋が間違っているのであれば、修正ができますので基本的にはマネジメント要素として利用されています。

KGIとは

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例えば、年間の売上が3,000万円の飲食店が、「来年の売上高は4,000万円にアップする」と目標を立てた場合、

「売上高4,000万円」がKGIとして管理される指標となります。

立てた目標に対して、どの程度達成されているのかを測定するためにKGIは設定されます。

KPIとKGIを効果的に運用する方法

KGIのためのKPが設定できているのか

KGIに対してのKPIがズレてしまいっているケースがあります。 先程の飲食店のKGIを引用した場合、どのように設定をするべきでしょうか?

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上の図は「売上高4,000万円」がKGIを目指すためにそれぞれKPIとして設定した例となります。

左側はのKPIは単なる数値管理でしかない一方で、

右側のKPIは売上高を伸ばすために「何が必要なのか」把握した上で、通過点を設定しています。

売上高の構成要素は、顧客数×単価から算出できますので、

  • 毎月の顧客数を2,300人に増やすこと

  • 一人あたりの購入単価を1,500円にすること

が達成できれば、一年後の売上高は4,000万円を超えていることになります。

どのような状態であれば、目標達成できるのか

を可視化することが大切になりますので、

設定した目標を因数分解しながらKPIを設定しましょう!

今日からはじめるために

今回はKPIとKGIについてご紹介しました。

この2つの指標は、ビジネスでは頻繁に利用されていますが、

実は個人レベルまでブレイクダウンすることが可能であり、

日常的に活用をすることで自分自身の行動計画を立てやすくなります。

例えば、

「今年の年間の読書数を100冊にする」という目標は立派なKGIです。

この目標を達成するためにまずは必要となる行動を可視化すると

  • 一冊あたりの平均ページ数から100冊の読書をするためにはどの程度ページを読むべきなのか(1冊あたり250ページと仮定)

   100冊×250ページ=25,000ページ

  • 1月あたりのページ数へブレイクダウン

   25,000ページ÷12カ月=2,084ページ/月

  • 1ページに必要な時間から毎月の読書にあてる時間を算出(読むのに必要な時間を1分と仮定)

   2,084ページ=2,084分÷30日=70分/日

となり、 そのため毎日70分という数値をKPIとして管理することで、年間100冊の達成ができることになります。

このようにKPIとKGIを意識することで、常に目標達成に対しての道筋を分かりやすく、可視化することが出来ますので、漠然とした目標がより近いものに変化されることになります。

「半年後までに◯キロ痩せたい」「来月のテストで100点を取りたい」といった些細なKGIでも良いので、

KPIに因数分解してから達成までチャレンジしてみましょう。

出社する必要はあるの?――働いてみてわかったリモートワークのメリット・デメリット

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新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモートワークを導入する企業も増えているのではないでしょうか?

私は3月末辺りから一切出社をせずに自宅にて勤務をしておりますので、その中で感じたメリットとデメリットをお伝えいたします。

今後リモートワークを導入する企業も増えていくと思いますので、どのような働き方になるのか参考にしていただければ幸いです。

働く側のメリット

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通勤時間が0分

私の場合、オフィスに到着するまでドアtoドアで50分必要です。

月に20日出社しているとすると

20日×100分=2000分=約33時間

も必要としていることになります。

通勤時間を読書や勉強に当てている方からすると、通勤時間が無くなることがデメリットと捉える場合もありますが徒歩の時間や電車の乗り換えといった

何もできない時間も無くなる

ため非常に大きいメリットではないでしょうか。

インプットが楽

家で働くため、資料作成のための参考書や、読書中の本の持ち運ぶ必要がなくなりました。

2~3冊(約300~400g/1冊)持ち運んでおり、地味に重たくストレスになっていたのが嘘のようにスッキリしています。

持っていくことがない=本の取捨選択をしない

ので持っていくことを忘れるという初歩的なミスも発生しません。

家事ができる

22時~23時まで働いていると必然的に

・食事はコンビニ弁当

・洗濯は週1回まとめて

となっていましたが、家にいるため炊事洗濯が容易になりました。

所謂ワーク・ライフ・バランスの実現ではないでしょうか。

適度に体を動かすことにもなりますので息抜きにもなっています。

働く側のデメリット

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働き過ぎ

退社をしないため、労働時間の区分が難しい側面があります。

プライベートとの棲み分けは意識しておかないとごちゃごちゃになり、

「働いているのか」 or 「自己研鑽をしているのか」

曖昧になりがちです。その影響もあって残業申請はできません(笑)

チャット疲れ

対面でのコミュニケーションができなくなったため、

ビジネスチャットでのやり取りが増えた結果、

チャットの確認や返信で時間が溶けていきます。

1日平均して100~300件程度チャットが動いているため一苦労です。

この点は

  • チャットですべき議題

  • WEB会議ですべき議題

の棲み分けをすべきだと痛感しております。

リモートワークを新しく始める方は、メンバーと一緒にルールを決めることをオススメいたします。

視力の低下

打ち合わせもWEB会議となり、

PCに向かう時間が必然的に増えたため目の負担は大きいです。

体感ですが、目薬の活用頻度は1.5倍程度になりました。

オススメの目薬は、Vロートプレミアム(ロート製薬)です。

ロート史上最多有効12成分が入っており、

デジタル機器などで疲れた目に効くとのことですので愛用をしております。

1,650円(税込)程度しますので、目薬にしてはやや高価ですが、大切な目を守るためにも投資はしましょう。

リモートワークの環境を最大限に活かすためには

リモートワークにおける最大のメリットは

可処分時間の増加

ですが、ついつい働きすぎてしまうという矛盾もあります。

いかに浮いた通勤時間を有効活用することができるのか、が

今後の課題と言えます。

新型コロナウイルス感染拡大により、デジタルシフトは間違いなく進みますので、この環境を最大限活かせるように思考錯誤していきます。

夢の国での現実問題――パワーハラスメントについて考える

f:id:lapislazuri33:20181113213849j:plain こんにちは、HRコンサルタントのknotです。

開業して35年を迎えた夢の国、ディズニーランド。

皆さん、一度は訪れたことがあるのではないでしょうか。

愛くるしいキャラクターだけでなく、スタッフの方々も、

訪れた方を全力で楽しませてくれますよね。

そんな夢の国、

東京ディズニーランドの運営会社である、オリエンタルランド株式会社が、

2名の女性従業員よりパワーハラスメントがあったとして

計約755万円の損害賠償を求める訴訟が、千葉地方裁判所にて起こされました。

夢から醒めてしまうような、現実に引き戻されてしまうような、悲しいニュースです。

今回はこの問題について、パワーハラスメントの基本的な部分を解説いたします。

  
  

  
  

ハラスメントとは

そもそも、ハラスメントとは具体的にどのような状況について言われるのでしょか?

ハラスメントの代表格として、

  • セクシュアルハラスメント

  • パワーハラスメント

は皆さん聞き覚えがあるのではないでしょうか。

他にも、マタニティハラスメントやアルコールハラスメントといった様々な種類もありますが、上記2つは非常に有名なトラブルの種だと言えます。

中でもパワーハラスメントは、先輩や上司といった目上の人から仕事上でプレッシャーをかけられたり、いじめられたりすることを指す言葉と認識していると思います。

実は、先輩や上司から、といった目上の人の立場だけではないんですね。

厚生労働省によると、

職場で起こり得るパワーハラスメントについて、

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

と定義されており、

  • 上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること

  • 業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること

上記2点に該当してしまうと、

上司・先輩から部下への矢印だけではなく、

部下から上司・先輩といった逆向きのパワーハラスメントも成立することになります。

同僚から同僚といった立場が同じ従業員の間だとしても、同じようにパワーハラスメントとされるケースも考えられます。

パワーハラスメントが及ぼす影響は非常に大きく、単なる職場環境の悪化やハラスメントの被害者の退職にとどまらず、うつ病やPTSD*1といった精神疾患の発症を促す場合もあります。

最悪のケースでは、自殺にまで至る可能性のある、悪質な問題なのです。

  
  

夢の国から現実へ

今回、ディズニーランドで起こったのは、典型的なパワーハラスメントです。

まず訴状によりますと、訴えを起こしたのは、20代、30代の女性2人です。

ディズニーランドのテーマパーク内で、パフォーマンスショーへの出演など、キャラクターの着ぐるみを着用してパフォーマンスをしていたようですが、怪我や体調不良になってしまっても、

「病気なのか、それなら死んじまえ」
「30歳以上のババアはやめちまえ」
「エンターなんだから、それくらい我慢しなきゃ」
「やる気ないやつは全力でつぶす」

といった典型的なパワーハラスメントの発言を浴びせられていたようです。

原告の主張の中では、上司を含む従業員12人からパワハラを受けていた、と一人ではなく複数の従業員からの圧力、特に、業務の性質を盾にした、「君は心が弱い。エンターなんだから、それくらい我慢しなきゃ」という言葉によって、来場者に対して夢を与える仕事と、病気や過重労働とも捉えられる現実の狭間に閉じ込められていたと感じます。

会見では、

「ゲストが第一なので、自分さえ我慢していればゲストの夢を壊さないという気持ちだけでやってきました。ディズニーが悪いわけではありません」
「何度上司に相談しても変わらず、相談することにより、逆にひどくなっていくいじめ。現在も続いているいじめをなくし、安心して働ける職場になってほしいと願い、今回の裁判に踏み切りました」

自身の気持ちと、自身が訴訟を起こすことによって与える影響力の強さを客観的に受け止めて、訴訟に至ったとしています。

これを受けてオリエンタルランドは、

当社は、現在、訴状に関する事実関係の調査等に真摯に取り組んでおり、当社の見解につきましては、今後の訴訟手続きにおいて主張してまいります。

としています。事実を明らかにし対応していく、現実的な問題をきちんと判別し、受容する姿勢を見せてほしいですね。

来場者の笑顔を大切にするのであれば、まずはそこで働く従業員も大切にされなければ本当の夢の国は作れないのではないでしょうか。

パワーハラスメントの難しさ

パワーハラスメントを考える上で職場の優位性は非常に大切な判断材料になりますが、

上司と部下、先輩と後輩といった指導する立場と指導を受ける立場の関係においては曖昧な部分が生じることも否めません。

この「指導」は指示・命令・叱責も業務内容になると思われますので、仕事のミスを叱っただけでパワーハラスメントと言い切るのは筋が通りません。 一方、仕事のミスに対して、部下や後輩の尊厳を踏みにじる発言が認められないのも確かです。

今回、ディズニーランドで起こったことが事実であれば、紛れもないパワーハラスメントです。働いていた人は、ディズニーが好きで、人を笑顔をするためにキャストになり、全力で仕事に取り組む方が多かったと感じます。そんな方がハラスメントから守られて、自分の仕事に熱中できる環境になり、働く人からしても夢の国になることを祈りたいですね。

*1:Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害

労働時間の定義とは?法律と考え方

f:id:lapislazuri33:20201004152647p:plain

こんにちは、knotです。

昨今、働き方改革の影響を受けて、長時間労働を起こさないように様々な取り組みが行われていますよね。

働いている方にとっては、

「できるだけ残業をせずに仕事をしてくれ」

「効率良く働いて、生産性を高めていこう」

会社や上司からこういった指示が出ている方もいらっしゃるかと思います。

私の会社でも働き方改革実現のための号令が出ておりまして、

22時以降は社内を強制消灯を実施し、環境改善が行われております。

長時間労働の防止・労働時間の短縮を目指してこのような取り組みがされているのですが、

そもそも労働時間とはどのような時間を指す言葉なのでしょうか?

多くの人が当たり前のように行っている

働いている時間が労働時間と言えるのですが、働いていると言っても簡単に説明できない部分もありますよね。

ですので今回は、働く全ての人に関係する

労働時間の定義

の基本的な内容について解説いたします。





労働時間の原則

労働時間は、会社にいる時間では?と思われる方もいらっしゃると思いますが、

実は、会社にいる時間のことを拘束時間と表現し、

この時間が全て労働時間になるわけではありません。

始業時刻前より30分早く出社して、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいる方いらっしゃいますよね?

拘束時間には労働時間の他に休憩時間も含まれているので、


拘束時間-休憩時間=労働時間


となります。

※休憩時間についてはこちらの記事で解説しておりますのでぜひご一読ください。 lapislazuri33.hatenadiary.jp


この労働時間ですが、法律上でも明確に定義されておらず、

あくまでも、


労働基準法第32条
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2.使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。


働くことのできる時間について制限をしているだけなんですね。

どのような状況を働いているとするのか、業種や職種が多岐にわたる関係で、法律で明確にできないのが理由だと考えられます。

法律で労働時間の在り方を決めてしまうと、それ以外の時間については労働時間じゃない、といった極論が出てしまう可能性もあります。

ちなみに、多くの正社員が該当する週休2日制ですが、5日間フルタイムの8時間働くと40時間ぴったりになりますよね。

週休2日制が普及している背景には、法律上労働時間について規制の影響を受けているのです。   
  

労働時間の概念

それでは、何を根拠に皆さんが働いていると言えるのでしょうか。

法律で定めれてないとは言え、

労働時間に該当するか否かの判断はしなければなりません。

この判断基準の際、大きなポイントとなる裁判例があります。

「労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではない」
三菱重工業長崎造船所事件(最一小判平12.3.9)


この判例では、

労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間

とされているのですが、それに加えて

「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と広く解釈することもでき、

いわゆる手待ち時間(コンビニや喫茶店で買い物客が来るまで待機している時間や、昼休み中に電話当番をしている時間などがあります)を過ごしていたとしても、会社から指示されているのであれば労働時間に該当することになります。

また、多大な業務量で始業時刻前の出社を余儀される場合など、

直接指示されていないケースであっても労働時間になる可能性もありますので、指揮命令下とは非常に広い意味で考えないといけません。


従って、

  • 会社側から命令されている

  • 仕事に関連している

  • 会社での風習や慣行となっている

上記3つの点のいずれかに該当すれば労働時間と判断できる可能性は高くなります。

  
  

働く時間に気を付けよう

今回取り上げました内容が、労働時間の定義になります。 この判断基準を元に、どこからどこまでの時間が

「働いているのか」

明確にしていかなければなりません。

始業時刻前に行う掃除や朝礼を労働時間なのか、という問題についても会社から指揮命令下にあるのかを考えると、自ずと答えがでてくるのではないでしょうか。

掃除や朝礼への参加があくまでも自由であって、昇給や賞与の評価に入らないのであれば労働時間ではないと言えますが、実際には少ないケースだと考えられます。

ただし、働いている時間について、完全に線引きすることは非常に難しいため、

最終的にはケースバイケースとなります。

日常的に行われている内容が仕事なのかどうか、今回の考え方を基本として判断していただければ幸いです。

寝ているだけで給与が増えるんですか?――素晴らしい睡眠報酬制度のご紹介!

f:id:lapislazuri33:20181021182832j:plain こんにちは、HRコンサルタントのknotです。

昨今、どの企業でも

働き方改革

への取り組みがニュースに取り上げられていますよね。

大手企業では、

  • 週休3日制度(佐川急便)

  • 週3回のノー残業デー実施(島津製作所)

などの取り組みが有名かと思います。

週休3日も、週3回のノー残業デーも、長時間労働の是正を目的とした試みであり、
各企業とも労働時間の削減に注力していることが分かります。
しかしそんな中で、株式会社CRAZYというオーダーメイド結婚式のプロデュース会社が、
睡眠時間の長さに応じて報酬を支払う、睡眠報酬制度を導入したとニュースを賑わせていました。
労働時間を直接削減するのではなく、
働く人の健康面を支えることで生産性の向上を図り、結果的として労働時間の削減を実現できる、理に適った制度ではないでしょうか。

寝ているだけで報酬が払われるなんて非常にうらやましくもありますので、今回は睡眠報酬制度をご紹介させていただきます。

  
  

  
  

睡眠不足が引き起こす損失

そもそも睡眠は生活する中で欠かせませんが、
仕事が忙しいときはどうしても睡眠時間を削らなければならないときもありますよね。

ホワイトカラーの職場ほど、パソコン一台あればどこでも仕事ができてしまう為、家で資料作成に追われても仕方ありません。

また、働き方改革の影響を受けて労働時間に関する法律が改正となり、
冒頭のような週休3日制や週3回のノー残業デー等により働ける時間に対して制限を設けることで、法律に対応する組織作りを進める会社も多くあります。 しかし、
「仕事の量は減らないのに、会社で働ける時間を制限されると、家に持ち帰ったり、見えないところで仕事をしなければ対応しきれない」
現場からはそんな声も聞こえてきますので、理想と現実のギャップはまだまだ埋まっておりません。

寝る時間を惜しんでまで仕事をしなければならない一方で、
非営利研究機関ランド・ヨーロップの調査研究により、睡眠不足による経済損失額は年間1380億ドル、日本円に換算すると15億円を超える金額に上るとされています。
睡眠時間を削ってまで働いているにも関わらず、効率低下による経済損失が発生していまう、悲しい調査結果と言えます。
睡眠不足によるパフォーマンスの低下は調査結果に裏付けられてはおりますが、
徹夜明けや日々の長時間労働によって睡眠時間が確保できなかった場合、

  • 判断能力の低下

  • 注意力散漫によるケアレスミス

  • 意欲減退やコミュニケーション能力の低下

といったマイナスな症状を皆さん一度は経験されていらっしゃるのではないでしょうか。

眠る時間を削って働くと生産性は下がる悪循環ですが、
それを打破する一つの鍵となるのが睡眠報酬制度にあると感じます。

  
  

睡眠報酬制度

睡眠報酬制度の内容をご紹介しますと、次のような内容になります。

報酬内容:6時間以上の睡眠を達成した日数に応じてポイント付与
100ポイント=100円分としてオフィス内の食堂やカフェで利用可能。
(ポイントは3ヶ月分をまとめて一括付与)
5日間達成:500ポイント/6日間達成:600ポイント/7日間達成:1000ポイント
皆勤賞(1ヶ月間毎日計測した社員*):+1000ポイント
*6時間以上の達成にかかわらず連続して計測した社員が対象
(株式会社CRAZY,HPより引用)

睡眠時間の計測はスマートフォンのアプリを活用し、
6時間以上の睡眠を確保した方に、社内で使えるポイントを付与されます。
皆勤賞を含めて年間で最大で年間6万4000円分ですので、
睡眠時間を確保するだけで得られるインセンティブとしては非常に魅力的ですね。
6時間を超える睡眠を取ったとしても当然問題はないようですし、ショートスリーパーの方は自己申告により制度の対象から外れることも可能とされているので、
積極的に取り組めそうな制度です。
基準時間も6時間と一般的な長さですので、働く側としても抵抗感は少ないのではないでしょうか。

睡眠報酬制度を導入した経緯を、

「クリエイティブな仕事に就いた人たちは時間に縛られたくない。今はノートPCやスマートフォンなどのデバイスがあればどこでも仕事ができることもあり、結局は自宅に仕事を持ち帰る」
株式会社CRAZY 代表取締役社長 森山和彦

とインタビューにて語られておりますように、
職場にいる時間を制限することで目に見える労働時間は確かに減少に繋がりますが、
その結果仕事を終えることができずに持ち帰り残業やシャドウワークに追われる方は増える可能性は容易に考えられます。
結果的に働く人の負担が増えるのでは、本末転倒になってしまいます。

そこで株式会社CRAZYでは
働く時間を減少させるのではなく、いかに健康を確保しつつ働いてもらうか
という点に着眼して睡眠報酬制度を導入しているんですね。

  
  

睡眠を大切に

働ける時間は時代の流れによって今後もより厳しく制限されますが、睡眠時間の大切さは時代によって異なりません。
今回紹介しました睡眠報酬制度は、非常に前向きに睡眠時間を確保できますので、
この制度が広まることで別の角度から労働時間の削減に期待ができると感じます。
働く人の健康を大切にする思いから、働き方改革が進みますと
「仕事の量は減らないのに労働時間が規制される」現場のネガティブな感覚も、前に向いていくのではないでしょうか。

働かずしてお金を稼ぐことを不労所得と言いますが、
寝てお金を稼ぐことは睡眠所得と言えるかもしれません。
しっかり寝て、しっかり稼いで、しっかり働く。 私はロングスリーパーなので、睡眠時間が7時間を切ってしまうと翌日のコンディションが万全ではなくなりますので、
この睡眠報酬制度が当たり前になる日を夢見て早めに眠りたいと思います。

会社を辞めるとき、退職願と退職届どっちが必要なんですか?――違いを知って円満な退職を!

f:id:lapislazuri33:20181015173726j:plain こんにちは、HRコンサルタントのknotです。

在職する会社からステップアップのために転職活動をされている方もいらっしゃると思います。

仕事の合間を縫って職務経歴書を作成したり、実際に面接に出向いたりするとなると本当に大変ですよね。

しかし希望する会社からようやく内定を貰った!となったとしても更に大変な手続きが待ってます。

それは退職です。

在職している会社に辞める意志を伝えるわけですが、非常に大きな壁と感じている方も多いのではないでしょうか。

私も一度転職しているのですが、
朝一番に上司に駆け寄って「少しお時間いただけますか?」と夕方に話す機会を設けていただいてから、
朝から夕方までの約10時間程度、朝から夕方まで胃をきりきりさせながら仕事に取組んでいたことを今でも覚えています。

このように会社を辞める決意をした後は上司に相談や報告をするかと思いますが、その後は

退職願

退職届

のどちらかの書類を会社に提出するように指示がされるケースが大半です。

さて退職『願』のか、退職『届』なのか、一文字しか異ならない書類ですが、実は法律的な効力も異なるんですね。
今回はこの退職願と退職届について解説いたします。

  
  

退職のための必要な手続き

まず、会社を辞めるということは、

雇用契約の解約

をすることになるのですが、
雇用契約の解約の方法は大きく

  • 解雇されるか
  • 退職するか

と言えます。
この中で解雇は、
会社から一方的に実施されるものですので、働く側の意志とは関係なく行われるケースが基本的です。

退職については、更に次のパターンに分類することができます。

  • 働く側から一方的な解約

  • 働く側と会社の双方の合意による解約

「会社を辞めるときは働く側から一方的なんじゃないですか?」と疑問にもたれる方も多いと思いますが、
私の感覚としては、

一方的な解約は「会社と喧嘩して別れる」ことが当てはまり、話し合う場を作らない

合意的な解約は「お互い納得して別れる」ことが当てはまり、話し合う場を作る

少々極端に思えますが、
このように捉えると自分が考えている退職方法がどちらに該当するのか、分かりやすいのではないでしょうか。

では退職の意思が固まった後に会社へと提出する書類について、 違いをみていきましょう。

退職の意思表示については口頭でも可能ではあるのですが、 「言った」「言わなかった」 トラブルに非常になりやすいケースですよね。 ですので退職願および退職届といった書類によって、自分自身の意志を客観的な書類にて会社に提出することが重要なんですね。   

退職願の性質とは

退職願ですが 「この日をもって退職したいのですが、お願いできますでしょうか」

と会社を一方的に辞める意思表示ではなく、 会社に対して退職のお願いを申し出る書類になります。 ですので、働く側の意志が決裁権者*1のもとに到達し、受理された時点ではじめて雇用関係が解約されるわけです。
あくまでも合意に基づく、雇用契約解約の申し出と言えます。

退職届の性質とは

退職届は
「この日をもって退職します」
と働く側から一方的な退職の意思表示となりますので、合意解約とは異なり人事に関する決裁権者に意思が到達した時点で効力が発生することになります。

  
  

申し出た退職の意志の撤回は可能?

会社に対して、辞めます!
抱えていた気持ちを伝えた後は、
晴れやかになる一方で、本当に自分の選択が正しかったのか不安が大きくなる方もいらっしゃいますよね。
「辞めるっていうタイミング、早かったかな」
「上司としっかり話し合って、もう少し頑張れば良かったかも」
失ったときこそ自分の本当の気持ちが分かりますから、退職するタイミングで自分の天職に気づいてもおかしくありません。

そんなときに、退職願を出したケースと退職届を出したケースによって、対応方法は異なります。

退職願
退職の意思表明を決裁権者が承諾するまでは、自分の意思で撤回できます

退職届
決裁権者に対して意思が到達した時点で退職の効力が発生してしまうので、自分の意思では撤回できません

ただし、退職願についても承諾がなされてしまいますと、自分の意思で撤回はできませんので注意が必要です。

  
  

退職するときこそ円満に

退職願や退職届といった雇用契約の解約手続きについてご説明しましたが、
この解約の申込みは、口頭でも効力を発揮してしまいますので、
退職についても売り言葉に買い言葉で言い出してしまい

「今月いっぱいで退職します」

と上司に伝えてしまい、上司が納得してしまうと極端に言えば合意解約が成立することになります。

大阪地方裁判所では、
働く側が会社を辞めることについて、生活していく基盤を失うことと同じであるため、
本当に会社を辞める意思があるのかどうかの認定は慎重に行う必要があると判決を下しております。

大通事件(大阪地裁平成10年7月17日判決)
労働者による退職又は辞職の表明は、使用者の態度如何にかかわらず確定的に雇用契約を終了させる旨の意思が客観的に明らかな場合に限り、辞職の意思表示と解すべきであって、そうでない場合には、雇用契約の合意解約の申込と解すべきである。

従って、
* 明らかに会社を辞める意思がある
* この日に辞める、と時期も確定していて、辞める日まで出社を拒否している

などの客観的に見て意思が確固たるものである場合を除いては、
勢いあまって「今月いっぱいで退職します」と退職届を出してしまったとしても、
きちんと筋を通して上司と協議すれば退職は取り下げてもらえるのではないでしょうか。

ちなみに退職願を提出して、会社から認められた後に退職届を出す場合があるようですが、
厳密には必要ありません。
一度意思表示が会社に到達した時点で退職についてはよほどのことが無い限り認められます。

退職願と退職届、たった1文字しか違わないのですが、会社を辞める際には重大なトラブルになりかねません。
意思が固まっていたとしてもモラルの観点からまずは退職願で会社と協議をし、お互いに受け入れが可能な日をもって退職できるように、辞める側もできる限り配慮することが望ましいと言えます。
一方の会社側も、退職の意思が固いのであれば、法律に反して無理に引き留めたりせずに気持ちよく新しい生活へと背中を押してあげましょう。

今回の記事と重複している箇所もありますが、こちらの記事で退職の時期について解説していますので、併せて読んでいただけると幸いです。 lapislazuri33.hatenadiary.jp

*1:社長だけでなく人事部長等が該当する場合もあります