労働時間の定義とは?法律と考え方
こんにちは、knotです。
昨今、働き方改革の影響を受けて、長時間労働を起こさないように様々な取り組みが行われていますよね。
働いている方にとっては、
「できるだけ残業をせずに仕事をしてくれ」
「効率良く働いて、生産性を高めていこう」
会社や上司からこういった指示が出ている方もいらっしゃるかと思います。
私の会社でも働き方改革実現のための号令が出ておりまして、
22時以降は社内を強制消灯を実施し、環境改善が行われております。
長時間労働の防止・労働時間の短縮を目指してこのような取り組みがされているのですが、
そもそも労働時間とはどのような時間を指す言葉なのでしょうか?
多くの人が当たり前のように行っている
働いている時間が労働時間と言えるのですが、働いていると言っても簡単に説明できない部分もありますよね。
ですので今回は、働く全ての人に関係する
労働時間の定義
の基本的な内容について解説いたします。
労働時間の原則
労働時間は、会社にいる時間では?と思われる方もいらっしゃると思いますが、
実は、会社にいる時間のことを拘束時間と表現し、
この時間が全て労働時間になるわけではありません。
始業時刻前より30分早く出社して、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいる方いらっしゃいますよね?
拘束時間には労働時間の他に休憩時間も含まれているので、
拘束時間-休憩時間=労働時間
となります。
※休憩時間についてはこちらの記事で解説しておりますのでぜひご一読ください。 lapislazuri33.hatenadiary.jp
この労働時間ですが、法律上でも明確に定義されておらず、
あくまでも、
労働基準法第32条
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2.使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
働くことのできる時間について制限をしているだけなんですね。
どのような状況を働いているとするのか、業種や職種が多岐にわたる関係で、法律で明確にできないのが理由だと考えられます。
法律で労働時間の在り方を決めてしまうと、それ以外の時間については労働時間じゃない、といった極論が出てしまう可能性もあります。
ちなみに、多くの正社員が該当する週休2日制ですが、5日間フルタイムの8時間働くと40時間ぴったりになりますよね。
週休2日制が普及している背景には、法律上労働時間について規制の影響を受けているのです。
労働時間の概念
それでは、何を根拠に皆さんが働いていると言えるのでしょうか。
法律で定めれてないとは言え、
労働時間に該当するか否かの判断はしなければなりません。
この判断基準の際、大きなポイントとなる裁判例があります。
「労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではない」
三菱重工業長崎造船所事件(最一小判平12.3.9)
この判例では、
労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間
とされているのですが、それに加えて
「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と広く解釈することもでき、
いわゆる手待ち時間(コンビニや喫茶店で買い物客が来るまで待機している時間や、昼休み中に電話当番をしている時間などがあります)を過ごしていたとしても、会社から指示されているのであれば労働時間に該当することになります。
また、多大な業務量で始業時刻前の出社を余儀される場合など、
直接指示されていないケースであっても労働時間になる可能性もありますので、指揮命令下とは非常に広い意味で考えないといけません。
従って、
会社側から命令されている
仕事に関連している
会社での風習や慣行となっている
上記3つの点のいずれかに該当すれば労働時間と判断できる可能性は高くなります。
働く時間に気を付けよう
今回取り上げました内容が、労働時間の定義になります。 この判断基準を元に、どこからどこまでの時間が
「働いているのか」
明確にしていかなければなりません。
始業時刻前に行う掃除や朝礼を労働時間なのか、という問題についても会社から指揮命令下にあるのかを考えると、自ずと答えがでてくるのではないでしょうか。
掃除や朝礼への参加があくまでも自由であって、昇給や賞与の評価に入らないのであれば労働時間ではないと言えますが、実際には少ないケースだと考えられます。
ただし、働いている時間について、完全に線引きすることは非常に難しいため、
最終的にはケースバイケースとなります。
日常的に行われている内容が仕事なのかどうか、今回の考え方を基本として判断していただければ幸いです。