サービス残業!認められない残業と改竄されたタイムカード【ワタミ問題】
こんにちは、knotです。実録シリーズの中でもブラック企業の深さが伝わる、 サービス残業の実態についてお話いたします。
最近では、ワタミでの長時間労働の末の未払い残業について報道がありました。
「ホワイト企業」宣伝のワタミで月175時間の残業 残業代未払いで労基署から是正勧告
こういった報道の背景には、企業における長時間労働や、未払い残業代がまだまだ根付いているからと言えるでしょう。
私も80時間を超える残業をしたにも関わらず、残業代がほとんど支払われなかった経験があります。
社会保険労務士の資格を持って、その資格を活かしてほしいと転職した先が、まさかのブラック企業という経歴です(笑)
今回は残業代のルールと企業側の考え方(言い訳)についてお話いたします。
残業時間の考え方
違和感のある残業申請時のルール
前提として、残業時間というのは会社で定められた所定の労働時間(一般的に7時間とか8時間)を超えた場合にカウントされるものです。
この労働時間や残業時間をカウントするために、タイムカードや勤怠システムに
会社へ出社・退社した際に打刻することが一般的かと思います。
前職ではこの打刻だけでなく、
毎日残業時間があるのか、あるのであれば何時間なのか、上司に申請をしておりました。
タイムカード上の時間だけでなく、自ら「残業をした」と上司に申請をするため、
きちんと残業時間の管理をしているように感じますが、
残業申請時の2つのルールがブラック企業感満載の内容でした。
よくあるブラック企業の特徴
残業申請をする際に、従業員側に求められていたルールの
まず1つ目が
定時から1時間を経過しなければ残業時間と扱わない
定時が18時だったため、19時を過ぎるまでは残業時間とならないものでした。
理由は、雑務や帰り支度といった時間があるため、とのこと。
そのため18時55分に仕事を終えたとしても、申請をすれば
「19時を過ぎていないから、この申請は取り下げておく」
当然のように却下をされます。
ただし、変わった点があり、19時5分に退勤をする場合は1時間分の残業が計上されます。
帰り支度等、5分もかからないのでこの1時間については単なるサービス残業の命令としか思えません。
そして2つ目は
以降は30分毎に残業時間とし、30分未満は切り捨てる
1つ目のルールと類似していますが、30分単位でしか残業時間と扱わないものです。
つまり、19時以降であっても、30分を一つの目安として扱われるため、
19時55分に退勤しても1時間30分と計算されることになります。
簡単にまとめると、下記のようになります。
備考欄のサービス残業を見ると、ブラック企業感が満載です。
この時点で、法律的に問題あると思われる方が多いと思いますが、実際にはどうなのでしょうか。
法律上の残業時間とは
結論、法律上は残業代は1分単位で支払わなければいけません。
労働基準法では、
働いた時間分の報酬(給与)の支払いを義務付けており、会社側の都合で控除することは法律違反となります。
そのため残業時間は1分単位で計算するのが原則的なルールとされています。
「30分単位で計算する」や「定時から1時間未満の場合は切り捨て」というやり方は当然認められません。
労働に対する対価を支払っていないことになります。
例外として、残業時間を1ヶ月間集計し、その合計時間に対して30分単位で四捨五入をすることのみ認められています。
労働基準監督署の調査では、実務上15分単位は許容範囲であると耳にしたこともありますが、
きちんと支払うべきものは支払ったほうが良いですね。
給与明細書上は45時間の記載に
改竄される理由
さて、残業時間の集計について解説いたしましたが、支払いについてもとんでもない出来事がありました。
入社時の雇用契約書から80時間分のみなし残業手当が支払われておりましたが、
(本来は20時間分のはずなのですが、詳しくはこの記事からどうぞ) www.work-design-lab.info
80時間を超えなければ残業手当が支払われない=80時間を超えると支払われなければいけません。
にも関わらず、80時間を超える残業をした月の給与明細には45時間分の表記が。
当然、残業手当は0円となっていました。
どういったロジックで、このような計算が行われていたのでしょうか?
会社側の考え方と法的な問題点
計算方法は簡単で、
残業代を随時支給しては、会社の資金繰りに影響がある
80時間を超えた部分については、賞与にて調整をする
みなし残業時間を超えた部分の表記があると、労働基準監督署の調査に引っかかるため、明細上から消している
とのこと。
会社側の言い分としては、3つ目の「労基の調査から逃れるため」が一番の理由かと思います。
どういった理由であれ、そもそも残業代は毎月出さなければ違法です。
賃金の支払いについては法律上で
【毎月1回以上定期払いの原則】
賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。したがって、「今月分は来月に2か月分まとめて払うから待ってくれ」ということは認められませんし、支払日を「毎月20日~25日の間」や「毎月第4金曜日」など変動する期日とすることも認められません。
引用【労働基準法第24条】
このように定められており、毎月きちんと支払う義務が課せられているのです。
賞与で残業代を調整します、という話も問題点は多く、
どこまでが査定上の金額なのか
残業代を考慮した査定になっているのではないか
といった懸念点がでてきてしまいます。
ある程度まとまった金額が賞与として支払われましたが、ほとんどが残業代だったのではないかと今でも思っております。
会社側の考え方は違法な場合が多いので、残業代が支払われていない場合は気をつけてください。