働き方"デザイン"研究所

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入社したら基本給が13万円!内定通知書より7万円も低かった雇用契約書

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こんにちは、knotです。 アルバイトや社員としてとして採用されたときにいただく雇用契約書って、貰ったときワクワクしませんか?

私は現在2度転職をしていますので計3回雇用契約書を交わしているのですが、いつもワクワクしていました(笑)

今回はそんな雇用契約書を題材として

実録!働く中で本当にあった怖い話

第一弾を皆様にお伝えしたいと思います。

入社前に内定通知書にて提示されていた金額よりもなんと

7万円も基本給が下がっていたお話です。

今でこそ、お酒の肴になりますが、当時は本当にブラック企業ってあるんだなぁと絶望をしていました(笑)

今回の話を通じて、

入社前に提示されていた給与と、実際に入社した際に渡された雇用契約書で金額が異なっていた場合について法律的にどうなのか?を解説いたします。


基本給が20万から13万へと変更されていた衝撃

入社の経緯

私は人事・労務管理部へ、とある地方の中小企業に転職しました。

元々金融期間で法人営業をしていたため、

人事・労務管理については未経験ではありましたが、

国家資格の社会保険労務士の試験に合格していたことが評価され、経験者と同様の待遇にて採用いただきました。

そのため、転職エージェントを経由していただいた内定通知書には、

 基本給:20万円

職務手当: 3万円*1

とのこと。

求人に応募した段階では、未経験者は基本給18万円・職務手当2万円でしたので、中々の高待遇に嬉しく、この会社で人事・労務管理についてマスターしようとやる気に満ち溢れていました。

そして、希望とやる気を掲げ入社日を迎え、その時は突然やってくるのです。

何もしていないのに 給与が下がった

初めての転職だったため、少し緊張をしつつもオフィスへ出社。

午前中は挨拶回りや、施設の案内、基本的な業務のスケジュールの説明を受け、

早速馴染めそうな雰囲気に安堵したのを覚えています。

そして午後一番に、

私の上司となる人事部長より「雇用契約書を取り交わすから、役員室へ」と声がかかり、

これで正式にこの会社の一員になるのだなぁとしみじみしながら社長の元へ。

「knot君の雇用契約書です。基本的には転職エージェント経由で伝えていた通りだけど、確認してサインを」

そう言われて、社長から受け取った雇用契約書には衝撃の文字がありました。

 基本給:13万円

職務手当:10万円*2

一瞬時が止まり、私の目が丸くなっていたことに気が付いたのか、

同席していた人事部長(これから私の上司となる方)より

「基本給と職務手当の金額が少し変わっているけど総支給は変わらないから」

7万円の差額は「少し」違うどころではないし、違法なのでは?あれ、ブラック企業に入社した?とこれまた衝撃発言に頭の中は真っ白に。

そもそもの経験者どころか未経験者採用の基準にも届かない金額です。

これ以上頭は全く回らずに、言われるがまま雇用契約書にサインをしたのでした。


全く大丈夫ではない雇用契約書とその裏側

なぜ給与が下がったのか?

雇用契約書にサインをしてから数週間。

まさか人事・労務管理に関する業務にあたる自分が、ブラック企業に入社したのでは?というモヤモヤは晴れず、

鬱蒼とした気持ちを抑えながらも仕事に取り組んでいました。

初めての仕事もペースを掴むことができ、上司と雑談をするくらいには職場の雰囲気にも慣れてきたので、

思い切って雇用契約書の件を質問してみたところ

残業代を抑えるためにそういう措置を取ってるんだ。80時間を超えた分はちゃんと支給するから心配しないで」

いやいやいやいや!支給するからとかそういう問題じゃないから!80時間以上残業したら過労死するから!

ちなみに求人情報と異なっていたのは、基本給13万では応募が来ないからだそうです。

社会保険労務士の資格を取得した私が入社した企業は、初日からブラック企業全開でした。


法律上は問題ないの?問題あるの?

結論から申し上げると、問題はあります。

その根拠は、求人票に記載された内容と実際に締結する雇用契約書の内容が相違する場合、説明責任が生じるからです。

【福祉事業者A苑事件】
求人票に記載されている労働条件が採用後の労働契約の内容と認められた事例

「求人票は、求人者が労働条件を明示した上で求職者の雇用契約締結の申込みを誘引するもので、求職者は、当然に求人票記載の労働条件が雇用契約の内容となることを前提に雇用契約締結の申込みをするのであるから、求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情のない限り、雇用契約の内容となると解するのが相当である」

参照:京都地判平成29年3月30日労働判例1164号44頁

こちらは地方裁判所になりますが、求人票と実際の労働条件が異なった際、裁判上ではどのように判断されるのか参考になります。

結果的にこの裁判では、

特別の事情がない限り、雇用契約の内容となると解する と言われております。

特別の事情については、

1. 面接時に実際の労働条件が求人票の内容と異なることについて、使用者より説明がされているのか(説明がされていない場合、基本的には求人票に記載された労働条件が雇用契約の内容になる)


2. 労働者、使用者の合意により労働条件が変更されるとき、変更によって労働者に発生する不利益の内容や、労働者が同意するに至った経緯や背景

が関係するものと推察できますが、

私の場合は

  • 面接・内定後の面談において条件が変更されることを説明されていない(契約書の締結時に初めて通知された)

  • 求人票の内容だけでなく、内定通知書上の採用条件(採用時の基本給や職務手当の金額)とも相違している

ため、違法と言えるでしょう。これから人事労務に携わるのに、自分の労働条件がブラックなことにびっくりでした。

契約したら後の祭り?気になる条件についてはサインの前に確認を

とは言っても雇用契約書にサインするということは、

提示された労働条件に合意することになり、その内容で勤務をするしかありません。(波風を立てたくない場合)

内心では、すぐに労働基準監督署に行くつもりでしたが、ブラック企業での人事・労務管理ってどうなのか?勉強になるのでは、という好奇心に負けてしまいました(笑)

ただ月に80時間を超える残業は時々あり(別の部門では常に超えていました)

会社の言い分は鵜呑みにしてはいけないと勉強になりました。

給与の金額が違うことは極端かもしれませんが、

「残業はないと求人票に載っていたのに、実際は残業があった」

「通勤手当は全額と聞いていたが、実際には距離に応じて計算されており全額出ていなかった」

このような場合もあると思いますので、

これから求職活動をされる方は求人票と雇用契約書の内容がどのようになるのか、サインをする前にぜひチェックしてみてください。

*1:約20時間分の固定残業代として支給

*2:約80時間分の固定残業代として支給