寝ているだけで給与が増えるんですか?――素晴らしい睡眠報酬制度のご紹介!
こんにちは、HRコンサルタントのknotです。
昨今、どの企業でも
「働き方改革」
への取り組みがニュースに取り上げられていますよね。
大手企業では、
週休3日制度(佐川急便)
週3回のノー残業デー実施(島津製作所)
などの取り組みが有名かと思います。
週休3日も、週3回のノー残業デーも、長時間労働の是正を目的とした試みであり、
各企業とも労働時間の削減に注力していることが分かります。
しかしそんな中で、株式会社CRAZYというオーダーメイド結婚式のプロデュース会社が、
睡眠時間の長さに応じて報酬を支払う、睡眠報酬制度を導入したとニュースを賑わせていました。
労働時間を直接削減するのではなく、
働く人の健康面を支えることで生産性の向上を図り、結果的として労働時間の削減を実現できる、理に適った制度ではないでしょうか。
寝ているだけで報酬が払われるなんて非常にうらやましくもありますので、今回は睡眠報酬制度をご紹介させていただきます。
睡眠不足が引き起こす損失
そもそも睡眠は生活する中で欠かせませんが、
仕事が忙しいときはどうしても睡眠時間を削らなければならないときもありますよね。
ホワイトカラーの職場ほど、パソコン一台あればどこでも仕事ができてしまう為、家で資料作成に追われても仕方ありません。
また、働き方改革の影響を受けて労働時間に関する法律が改正となり、
冒頭のような週休3日制や週3回のノー残業デー等により働ける時間に対して制限を設けることで、法律に対応する組織作りを進める会社も多くあります。
しかし、
「仕事の量は減らないのに、会社で働ける時間を制限されると、家に持ち帰ったり、見えないところで仕事をしなければ対応しきれない」
現場からはそんな声も聞こえてきますので、理想と現実のギャップはまだまだ埋まっておりません。
寝る時間を惜しんでまで仕事をしなければならない一方で、
非営利研究機関ランド・ヨーロップの調査研究により、睡眠不足による経済損失額は年間1380億ドル、日本円に換算すると15億円を超える金額に上るとされています。
睡眠時間を削ってまで働いているにも関わらず、効率低下による経済損失が発生していまう、悲しい調査結果と言えます。
睡眠不足によるパフォーマンスの低下は調査結果に裏付けられてはおりますが、
徹夜明けや日々の長時間労働によって睡眠時間が確保できなかった場合、
判断能力の低下
注意力散漫によるケアレスミス
意欲減退やコミュニケーション能力の低下
といったマイナスな症状を皆さん一度は経験されていらっしゃるのではないでしょうか。
眠る時間を削って働くと生産性は下がる悪循環ですが、
それを打破する一つの鍵となるのが睡眠報酬制度にあると感じます。
睡眠報酬制度
睡眠報酬制度の内容をご紹介しますと、次のような内容になります。
報酬内容:6時間以上の睡眠を達成した日数に応じてポイント付与
100ポイント=100円分としてオフィス内の食堂やカフェで利用可能。
(ポイントは3ヶ月分をまとめて一括付与)
5日間達成:500ポイント/6日間達成:600ポイント/7日間達成:1000ポイント
皆勤賞(1ヶ月間毎日計測した社員*):+1000ポイント
*6時間以上の達成にかかわらず連続して計測した社員が対象
(株式会社CRAZY,HPより引用)
睡眠時間の計測はスマートフォンのアプリを活用し、
6時間以上の睡眠を確保した方に、社内で使えるポイントを付与されます。
皆勤賞を含めて年間で最大で年間6万4000円分ですので、
睡眠時間を確保するだけで得られるインセンティブとしては非常に魅力的ですね。
6時間を超える睡眠を取ったとしても当然問題はないようですし、ショートスリーパーの方は自己申告により制度の対象から外れることも可能とされているので、
積極的に取り組めそうな制度です。
基準時間も6時間と一般的な長さですので、働く側としても抵抗感は少ないのではないでしょうか。
睡眠報酬制度を導入した経緯を、
「クリエイティブな仕事に就いた人たちは時間に縛られたくない。今はノートPCやスマートフォンなどのデバイスがあればどこでも仕事ができることもあり、結局は自宅に仕事を持ち帰る」
株式会社CRAZY 代表取締役社長 森山和彦
とインタビューにて語られておりますように、
職場にいる時間を制限することで目に見える労働時間は確かに減少に繋がりますが、
その結果仕事を終えることができずに持ち帰り残業やシャドウワークに追われる方は増える可能性は容易に考えられます。
結果的に働く人の負担が増えるのでは、本末転倒になってしまいます。
そこで株式会社CRAZYでは
働く時間を減少させるのではなく、いかに健康を確保しつつ働いてもらうか
という点に着眼して睡眠報酬制度を導入しているんですね。
睡眠を大切に
働ける時間は時代の流れによって今後もより厳しく制限されますが、睡眠時間の大切さは時代によって異なりません。
今回紹介しました睡眠報酬制度は、非常に前向きに睡眠時間を確保できますので、
この制度が広まることで別の角度から労働時間の削減に期待ができると感じます。
働く人の健康を大切にする思いから、働き方改革が進みますと
「仕事の量は減らないのに労働時間が規制される」現場のネガティブな感覚も、前に向いていくのではないでしょうか。
働かずしてお金を稼ぐことを不労所得と言いますが、
寝てお金を稼ぐことは睡眠所得と言えるかもしれません。
しっかり寝て、しっかり稼いで、しっかり働く。
私はロングスリーパーなので、睡眠時間が7時間を切ってしまうと翌日のコンディションが万全ではなくなりますので、
この睡眠報酬制度が当たり前になる日を夢見て早めに眠りたいと思います。