【ANA・副業拡大】今更聞けない?副業をする時の2つのポイント
こんにちは、knotです。街中でウーバーイーツを見かけない日がほとんどありませんが、皆さん副業をしていますか?
Uber Eats、クラウドワークスやランサーズといったサービスも普及しておりますし、
アフィリエイト、輸入ビジネスといったパソコン一つで商売(サービス)ができる時代です。
国も副業解禁を謳い文句に、法改正の取り組みが進んでおります。
2020年の9月から、副業をしている人が仕事中に怪我(労災)をした場合、
その怪我が本業中・副業中問わずにその本業と副業の給与を合算して補償される金額を算定してくれることになりました。ただし、あくまでも他の会社で雇用されている場合の副業ですので注意は必要です。
とは言え、副業時に怪我をしても補償される金額が少なくなるリスクもなくなりましたので、安心して副業ができる環境になりつつありますね!
一方で、
本業に支障がでる(=副業をせずにきちんと休まないと、仕事にミスが出る懸念がある)
副業に時間を費やすくらいなら残業をして仕事を片付けてほしい
このような考え方から、「副業」について許容ができない会社に勤めている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際、株式会社リクルートキャリアが行った兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)では、
【引用:株式会社リクルートキャリア(「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)」より】
ようやく3割程度の企業で推進が始まっている状況です。つまり、まだ半数以上の企業では副業の解禁について足踏みをしているのです。
そんな中、2020年10月9日に、
日本の最大手航空会社であるANAが「社員の副業を大幅拡大へ。他社で雇用契約OK」と
ニュースに取り上げられたことはご存知でしょうか?
今までANAでは個人事業主として勤務時間外での副業を認めていたとのことですが、今回その副業ルールを見直すことで、
他社と雇用契約を結ぶことについても許可する方針になったのです。
法改正に加えて、大企業のこういった動きを見ると副業解禁の時流であると再認識できますね。
まだまだ広がりを見せる副業について、今回は改めて知っておくべきルールや3つのポイントを解説いたします!
副業をとりまく法律と考え方
意外と「え、そうなんですか?」となるのですが
副業については法律上は禁止されていませんし、原則会社側が禁止することもできません。
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」
日本国憲法第22条:職業選択の自由
この「職業選択の自由」は、自分が従事する職業を自由に決めても良い、という意味でありもちろん副業についても同様とされています。
憲法で定められている以上、会社側が従業員に一方的に副業を禁止することはできないのです。
ここまでの内容を踏まえると「それなら、何の躊躇いもなく副業ができる」と思いつつも
「約7割の企業が副業解禁を躊躇してるってあったけど、それって法律違反?」と疑問が浮かびますよね。
この解説は、従業員・会社といった各々の立場で考えることで整理がしやすくなりますので、
まず副業について働く人の目線と会社側での目線で考えたいと思います。
「働く人の目線」での副業
副業をやりたいと思う人は、
やっぱり一番は副業で「収入UP!」
稼ぎながら 自分のために「スキル向上」
好きなことも仕事に?「自己実現!」
このように、自分自身への投資・リターンが望めますので、非常にメリットがある話ですよね。
デメリットを上げるとすると、疲労の蓄積や自由時間が減ることが考えられますが、
そもそもこの辺りで頭を悩ませる方は副業をやろう!と思わないでしょう。
「会社側の目線」での副業
次に、会社側の目線でメリットを上げるとすると
副業経験を本業に活かすことで「売上向上!」
副業OK=柔軟な働き方のアピールによる「企業のブランディング!」
従業員の不平・不満を解消して「離職防止・人材確保!」
が考えられます。
「こんなにメリットがあるのになぜ私が勤務している会社では副業を禁止しているの?憲法でも禁止してはいけないのに……ますます分かりません……」
おっと、ネガティブになって副業OKの会社に転職を考えてはいけません!
冷静になり、少しだけ会社の内情に踏み込んで「会社目線」でのデメリットに注目することが大切です。
会社側の言い分としての「副業禁止」
会社が副業を認めた場合のデメリットとしては、
自社での仕事がおろそかになってしまうのではないか?
もし副業先が競業他社であったり、取引先との利益相反になる場合は情報漏洩リスクがあるのではないか?
副業をすることで長時間労働・過重労働になってしまい、健康を損なうのではないか?また労災の責任はどうなるのか?
このように事業をする上で非常に悩ましいものばかりではないでしょうか。
本業先である皆さんの会社がこのデメリットの影響により経営ができなくなったとなると、仕事がなくなってしまい解雇になる未来も考えられますので、
会社側が副業を禁止する言い分は、ある程度理解できる内容かと思います。
メリットよりもデメリットのほうが気がかりで、副業解禁に踏み切れないのが現状なのかもしれません。
だからといって、憲法を無視してもいいのか?矛盾してない?とこの問題は堂々巡りしてしまいます。
この矛盾のカラクリは、
先程のデメリットが合理的であると判断できる場合には、会社のルールとして副業を禁止にできるのです。
厚生労働省から出されているガイドラインでは、従業員が本業先で働く時間以外(=プライベートの時間)について基本的に自由に過ごすことができるとした上で、
② 業務上の秘密が漏洩する場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
上記のような場合には禁止しても良い、と決められているんですね。
本業の会社で雇用されている以上は、その会社に不利益な事が起きないように、しっかりと本業に集中してください。ということですね……
では、会社のルールとして副業が禁止されている場合は、絶対に副業をしてはいけないのでしょうか?
そんなことはありません。副業禁止を巡る裁判例としては、
東京都私立大学教授事件(東京地判平成20年12月5日)
【概要】
教授が無許可で語学学校講師等の業務に従事し、講義を休講したことを理由として行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められず、解雇無効とした事案。
【判決抜粋】
兼職(二重就職)は、本来は使用者の労働契約上の権限の及び得ない労働者の私生活における行為であるから、兼職(二重就職)許可制に形式的には違反する場合であっても、職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しないものと解するのが相当である。
上記の裁判は「 副業によって職場の秩序に影響していなかった」「本業への支障・影響がほとんどなかった」ことが認められて、
副業禁止ルールに違反したとして会社からの懲戒解雇は、無効であると判決が下っております。
会社に相談することは当然必要ですが、まずはその前に2つのポイントを押さえておきましょう!
これだけは押さえる!副業前に確認するべき2つのポイント
就業規則を読み、会社でのルールを確認する
まず1つ目のポイントですが、
就業規則上での会社のルールを再確認することです。
具体的には、下記の項目を押さえておくことで副業に関する環境が大きく変わります。
上司が副業を禁止と言っていても、実は規則上は問題なかったり……のようなケースもありますので自分の目で確かめてみましょう。
自分がやりたい副業はどんなことなのか
就業規則で副業が禁止されている場合、その条件を守ることが従業員に課せられている義務になりますので
原則守らなければいけません。
一方で、副業については会社のデメリットに該当する場合には禁止することができる、と解説しましたが、
裏を返せば、そのデメリットに当てはまらない副業については禁止することができないのです。
そのため本当に副業をしたい場合は、まずその副業がどういった内容なのか確認しましょう、
この各チェックボックスを問題ないと判断できる場合は、副業によって会社側にデメリットがないと言えますので、認めてもらえる可能性は高くなります。まずは自分の副業についてしっかりと考えた上で会社を説得しましょう!
ルールを守って正しく副業を
冒頭で取り上げたANAが副業を広げる背景には、
コロナによる業績悪化の影響で給与の減額の見込みのため、社員の収入を確保を狙っているようです。
大手企業では、従業員数も多いため管理下に置くことが難しい(=副業を認めにくい)と考えられるのですが、
今回のニュースをきっかけに、ぜひ他の企業でも副業を推進してほしいところです。
今回は副業を取り巻く法律と、2つのポイントを解説いたしました。それでも「会社に相談しても禁止の一点張りで、仕方ないので隠れてします」となる方もいらっしゃるかと思います。その部分についてはまた解説いたしますので、楽しみにしていただけますと幸いです!