出張×出張×出張!繰り返す始発と終電、これって残業時間にならないの!?
こんにちは、knotです。出張って楽しいですけど、長時間の移動は疲れますよね。
コロナ渦において、まだまだ油断は許されない状況ですが、
経済は再度動き出しております。
コロナの感染拡大や緊急事態宣言等の影響を受け、ここ数ヶ月ずっとWEB会議やテレワークをされていた方も、
会社への「出社」やクライアント先への直行直帰する「出張」のような従来の働き方に戻っていると思います。
私も夏までは出社が禁止されており、テレワークオンリーで可処分時間が増えておりました。
※薔薇色なテレワークをしていたときの記事がこちらです。よければぜひご一読ください! www.work-design-lab.info
しかしその薔薇色のテレワーク環境から一変、ついに出社・出張命令が出たことで薔薇色から灰色に変わりつつあります。
出社するには当然自宅から会社への通勤時間は必要ですし、
それに加えて「スーツに着替える時間」「駅のホームで電車を待つ時間」といった移動そのものではないにしろ
会社に行くまでに必要な時間があります。このような時間って、関節的には会社で仕事をするために必要な行為ですので、正直この時間、無駄というか……本音を言うと給与が欲しいというか(笑)
私は家から会社まで、片道約1時間程度必要ですので、テレワークが快適だった反面早くもダウン間近です。
出社だけでなく、出張も解禁されましたので、久しぶりに始発・終電での移動をしました。WEB会議の日々が恋しいですね……
テレワーク前は何も考えずに出社や出張をしていたのが、やはり一度快適な環境に慣れてしまうと気になってしまいます。
今回は「そういえば出張や出社での移動時間って、会社から命じられていることだけど労働時間にならないのか?」基本的な考え方について解説いたします。
そもそも出社するための通勤時間って何なの?
皆さん、日々当たり前に出社していると思いますが、この通勤時間に疑問を持ったことありませんか?
家から会社まで5分で移動できる方もいれば、片道1時間以上かけて通勤される方もいるかと思います。
元同僚がほぼ2つの県を跨ぐため、おおよそ2時間弱かけて毎日会社に来ていました。私の知る限り、一番長い通勤時間です。大雨とか台風で電車が止まっていると、自腹で新幹線通勤していたとか……。
私も最近早朝のミーティングのために朝5時に起きて、6時に家を出て、7時に会社に着く。このような生活をしている中で
「会社からの命令で早く起きて、家を出ているのに、この通勤時間も労働時間にしてくれないかな?」と苦言を呈したい気分になっています。
当然、労働時間にならないことは承知の上ですが。
そもそも会社への通勤時間というのは、働く準備のための行為とされておりますので、
会社側から「この仕事をするように」と指揮命令を受ける前となります。そのため働く義務を提供する前の段階になりますので、
通勤時間は労働時間にならないのです。
確かに、通勤中とはいっても、時間が許すのであればカフェで一息ついたり、コンビニに寄ったり自由に過ごすことができますよね。自由時間が確保されている以上、働いていると言えないということになります。
実際に過去の裁判でも、
従業員が会社の提供するバスに乗り、寮と就業場所を往復する時間について労働時間に該当するのかどうかを争っており
「寮から各工事現場までの往復の時間はいわゆる通勤の延長ないしは拘束時間中の自由時間ともいうべきものである以上,これについては原則として賃金を発生させる労働時間にあたらないものというべきである」
(高栄建設事件東京地裁平成10年11月16日判決)
と、通勤方法時に一定の拘束を受けていたとしても会社の指揮命令下におかれているとは言えない=労働時間に該当しないと判断されました。
この裁判では会社が提供していたバスでの出社なので、自家用車や公共交通機関での出社に比べて一従業員は制限を受けているにも関わらずの結果ですので、通勤時間を労働時間だ!と主張するのは難しいでしょう。
会社から「この時間に来てね!」と指示をするのだから、少しは労って欲しいのが本音です。
強制的に始発と終電。出張時における考え方とは?
通勤時間については、基本的には労働時間ではないと解説いたしましたが、
では出張についてはどのように考えられるのでしょうか?
コロナ前だと出張も多く、毎日始発・終電で東京や大阪、名古屋を行き来しておりました。テレワークをしていた今では効率がめちゃくちゃ悪いような気もしますね……
出張の場合は
普段とは異なる勤務で働くことを命令されている
当然、その勤務場所に移動する必要があり、会社から指示を受けていることになる
このように考えられるため、
一見、出張時の移動は会社からの指揮命令を受けている=労働時間になるのでは、となるのですが、
実はこの解釈については非常にシンプルで
新幹線や飛行機への乗車中に、物品や乗客の監視・管理など、果たすべき業務があるか?
目的地まで単に乗車しているだけなのか?
この2つのどちらに該当するのかによって判断をすることになります。
具体的には、
仮に、出張の移動時に業務の性質があるのであれば、労働時間となります。 具体的には、この移動時間中に上司から資料の作成を依頼される場合や、物品(現金や有価証券、機密書類等)の監視等を指示されている場合です。これは移動時間が運搬などの目的を遂行していると考えれられますので、交代要員がいてその業務から解放されるとき以外は、原則として労働時間にカウントされます。
出張先に行くために、新幹線、バス、飛行機に乗って往復しているような場合です。この乗車時間については乗り物から降りて自由行動ができないため拘束時間と言えます。しかしながら、仕事をしていない点では休憩時間と同様の考え方になり、労働時間にカウントされません。行動の制約はあるにしろ、自由に休憩を取ることができるので、休憩時間と同じ性質の時間として取り扱っても差し支えがない、という考え方になります。
このような取り扱いになりますので
結論、移動時間も働いているのか、働いていないのかという判断になる訳ですね。
出張のために始発と終電を繰り返していましたが、1円にもならない……悲しい現実です。テレワークに戻してください
移動時間は有意義に過ごそう
通勤や出張時の移動時間について、労働時間に該当するのか否か解説いたしましたが、
基本的には労働時間と取り扱ってくれません。
通勤に関しては、住まいを自分で決められる以上(会社との距離を自由に決められるという観点)、
通勤時間がどの程度掛かるのかはその人の選択になりますので、通勤まで労働時間になると不公平感が生じるのも否めません。
一方で、会社から命令された出張の移動時まで労働時間にならないのは切ない気持ちになります。
移動時間は仕事をせずにブログの執筆や読書など自分のために使おうと思います……。