働き方"デザイン"研究所

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今日は給料日!――給与支給明細書を見てみよう!

f:id:lapislazuri33:20180929180914j:plain こんにちは、HRコンサルタントのknotです。

早速ですが皆さん、給料日は楽しみにしていますか?

私は非常に楽しみにしております。寧ろ、給料日の為に働いていると言っても過言ではありません。どれくらい頑張って働いたのか、お金という物差しで測ることができるのです。

そんな給料日に受け取る給与明細書ですが、中身をまじまじと見たことがあれば、そうでない方もいると思います。

仕事をしている上で、新しく社会人になられた方や、何年もサラリーマンとして勤めている方とお話しする機会がよくあるのですが、手取り金額しか気にしていない方が意外と多い印象を受けるんですよね。

月給者の方ですと毎月の給料が変動することはあまりありませんが、会社がきちんと人事・労務管理をしているのか、この給与明細書から読み取ることができる大切な書類です。

ですので今回は、給与明細書の留意点を簡単にご説明します。

  

 
  

給与支給明細書に書かれている項目

皆さんに手渡される給与支給明細書には、基本的には大きく3つの項目に分けて表記されています。

  • 勤怠

出勤日数 所定労働時間 普通残業時間 深夜残業時間 休日労働時間 有給日数 有給残日数

  • 支給項目

基本給 職務手当 資格手当 通勤手当 残業手当 深夜残業手当 休日手当

  • 控除項目

健康保険料 介護保険料 厚生年金保険料 雇用保険料 所得税 住民税

会社ごとに記載されている項目名称は若干異なりますが、大きく変わることはありません。

3つに分類された項目の内、支給項目の合計がいわゆる額面金額と呼ばれるものです。
この額面金額から、控除項目の合計金額を差し引きしたものが手取り金額です。文字通り手元に残る金額というわけなんですね。

 
 

勤怠・支給項目から読み取る人事・労務管理

勤怠・支給項目では、普通残業時間 有給日数 に注目しましょう。

  • 普通残業時間に注目する理由

法定労働時間を超えた労働時間については25%以上の割増賃金の支払いが必要であり、1日の残業時間については原則として1分単位で計算する必要があるため、法令が遵守されているか見極めることができます。 *1

  • 有給日数に注目する理由

有給休暇は、 雇い入れ日の日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤している場合に当然に付与されるものであり、 付与される日数も定められているため、普通残業時間と同じように法律に沿って適切に付与されているのか簡単に確認することができます。

1日8時間・週5日働く、いわゆる正社員の場合は下の図に沿って有給休暇が付与されることになります。*2

勤続
年数
6か月 1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年6か月
以降
付与
日数
10日  11日 12日 14日 16日 18日 20日

給与明細書に記載することは義務付けられていませんが、関与させていただいている企業先様に対しては、有給休暇の取得促進による生産性向上を図るため、給与明細書への記載を推奨しております。

  
  

控除項目から読み取る人事・労務管理

控除項目では、健康保険料 厚生年金保険料 雇用保険料に注目しましょう。

  • 健康保険料および厚生年金保険料に注目する理由

健康保険料や厚生年金保険料は、基本的には一度定められた保険料は1年間変わりません。従って毎月の控除金額は固定されており、保険料は会社と被保険者である従業員で折半して負担するため、保険料の徴収漏れや徴収過多を確認することができます。

保険料の徴収は、原則被保険者となった月の翌月から支払う給与より控除となります。

  • 雇用保険料に注目する理由

雇用保険料は、上記の健康保険料や厚生年金保険料と異なり、毎月変動します。しかし雇用保険料の計算方法は非常にシンプルであり、支給項目の総合計(額面金額)に雇用保険料率を掛けた金額になります。そのため徴収漏れや徴収過多を簡単に確認することができます。

平成30年度の保険料率は、一般的な事業所で0.003となっております。

  
パートやアルバイトといった雇用形態であっても、労働時間が長い方については健康保険や厚生年金保険、雇用保険への加入義務が生じる場合がありますので、控除項目から加入の有無を確認しておきましょう。

  
  

今一度給与明細書の確認を

給与明細書は、労働時間の管理状況、健康保険等の各種保険が適切に処理されているのか確認できる書類であり、人事・労務管理が正しく処理されているのか客観的に見ることができますので、手取り金額だけではなく他の項目にも注目する癖をつけておくことは非常に大切です。
ぜひ次の給料日が訪れた際には、一度給与明細書に目を通してください。

今回は、給与明細書について注目すべき項目を簡単に説明させていただきました。詳しい内容については、別の記事にて順次紹介させていただこうと思います。


*1:従業員に不利にならない端数処理として、1か月の残業時間を集計し、30分未満の端数が出た場合には切り捨て、30分以上の端数は1時間に切り上げて計算することは認められていますが、その日ごとに端数処理を行うことは労働基準法違反となります。

*2:労働日数が短い場合は、労働日数の短さに応じて、比例付与されます。