忙しくて有給休暇なんて取れません――来年からは有給休暇を取らないといけません!
こんにちは、HRコンサルタントのknotです。
皆さん、1年の間でどのくらい有給休暇を使ったか覚えていますか?
また、同僚や先輩、上司はどのくらい1年の間で休むことができていますか?
昨今世間を賑わせている働き方改革の中で、
有給休暇の取得が義務化
について聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
働き方改革の中で8本の法律が変更となりますが、有給休暇の法律が変わることについての質問が一番多く寄せられていますので、
今回は有給休暇の取得義務化について基本的な内容を解説させていただきます。
過去の記事で有給休暇の取得理由について記事を書いておりますので、併せて読んでいただければ幸いです。
有給休暇の取得が義務化へ
有給休暇が
年間で10日間以上付与される従業員
を対象として、付与された日から1年以内の期間で
5日間の取得
が義務化となります。
今まで有給休暇については、働く側に対して休める権利として与えられていましたので、
取るか・取らないか
働く人の裁量に任せられていました。
その為、働く人から有給休暇の申請がなければ、会社は取らせなくても良かったんですね。
しかし、法改正により有給休暇の取得が義務化となったことで、
5日間取得できていない場合には、取得できていない日数分取得させなければなりません。
逆に、有給休暇を5日間以上取得できている場合には必要ありません。
有給休暇取得義務化となった背景
そもそも、有給休暇の取得が法律で義務化となる理由には、
日本における有給休暇取得率の低さにあります。
【出典:厚生労働省・平成29年版過労死等防止対策白書】
持っている有給休暇の日数の内、使用できている日数が半分にも満たないんですね。
有給休暇の取得率が上がることで、 労働時間の削減に直接繋がりますので、日本の大きな課題である長時間労働を防ぐ重要な政策となっています。
取得率の低さを取り巻く要因
有給休暇の取得率が半分にも満たない理由としては
そもそも 忙しくて取れない
休んでも仕事の量が変わらないため、翌日に穴埋めをしなければならない
周りが休まないので、自分だけ休みにくい
体調不良など、緊急のときのために取っておきたい
等々が考えられます。
仕事量だけではなく、
日本人独特の心理的な観点から有給休暇を取得できないケースもありますので、
職場環境の見直しが必要不可欠と言えます。
権利と義務の関係に
有給休暇は働く人が持つ、いつでも休むことのできる権利です。
この権利のことを労働基準法では「時季指定権」と表現し、休みたい日を指定することで、
その日については給与が引かれる心配をせずに、働く義務が免除されるのが原則なんですね。
このいつでも休める権利が、2019年4月からは一部分について義務化となるのですが、
義務を背負うのは会社側である点は、注意しなければなりません。
《働く側》
いつでも好きなときに休める権利である。
権利であるため、個人の自由な意思で行使するか決めることができる。
《会社側》
年間10日以上の有給休暇付与する働く人に対して、年間5日間を与える義務がある。
義務であるため、働く側から権利の行使が無い場合であっても、責任を持って有給休暇を取らせなければならない。
従って、
働く人が仮に休みたくなかったとしても、
会社は5日間の有給休暇が取れてなければ、休ませる必要がある
というわけです。
この義務に違反した場合、会社は30万円以下の罰金に課されるおそれがあります。
有給休暇を効率的に取得してメリハリある働き方を
今後は働く人も、働いてもらう人も、有給休暇の取得について考えていく必要があります。
「よく遊び、よく学べ」なんて言葉がありますが、
「よく休み、よく働ける」環境を、お互い協力して作ることが重要なんですね。
実際に、私の会社でも忙しくて休んでられない人が少なからずいますので、仕事の量と仕事の効率を上手く織り交ぜていかないと法律に対応できません。
会社の業種や風土、働く人それぞれの事情に応じて、有給休暇の取得状況を今一度考え、
従業員と会社が一丸となって休み方への改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。