10月1日は内定式!――内定通知書って?
こんにちは、HRコンサルタントのknotです。
新卒における就職活動では、本日10月1日は一般的に内定式と言われております。
私も新卒の時は内定者懇談会という形で内定通知書を受け取り、「来年の春からこの企業で頑張って働こう」とモチベーションが高まったことを覚えています。
転職した際は中途採用ということもあり、内定式や内定懇談会はなかったものの、内定通知書をいただき、気が引き締まったことを今でも覚えております。
今回は、そんな内定通知書がどのような意味を持つのか、ご説明いたいます。
内定通知書とは
内定通知書とは、企業が「この人を採用しよう!」と内々で決定した事実を応募者の方に伝える書類です。
実際に採用して働いてもらうには、お互いの意思表示の下で労働契約を交わさなければなりませんが、この労働契約は極端な話ではありますが、
「働いてくれますか?」「よろしくお願いします」という口頭の会話でも成立するのです。*1
労働契約法は、「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と規定し、(略)
また、この合意については、契約書の作成などの要式は必要とされておらず(略)、口頭によるものでもよく、また、明示の(明白に表示された)ものである必要もなく、当事者の態度などの客観的事実から明確に認定できる黙示の合意でもさしつかえない。
【菅野和夫『労働法(第十一版補正版)』弘文堂,p.148】
しかし採用や雇用条件を巡るトラブルは、
「言いました」「言ってません」
の水掛け論から生じることが日常茶飯事であり、採用という企業と応募者双方において大切な、労働契約の始まりにおけるトラブルを防止するために、内定通知書の交付が一般的になっているのです。
従って内定通知書は、企業からまず「働いてくれますか?」の問いかけを書類として明確化するためのものなんですね。
内定通知書が届いたら
この大切な内定通知書ですが、ペーパーレス化の要因からか、郵送や手渡しだけではなくメールでのやり取りも増えてきております。
転職エージェント等を利用して転職する場合は、利用しているエージェント経由で内定通知書が発行されることもあります。
さて、大変だった就職活動を終えてようやく手に入れた内定通知書ですが、記載されている事項としては次の二つの項目のように非常にシンプルなケースが多いです。
入社日(初出勤日)
2019年4月1日
等就業する場所や所属となる部署
東京都新宿 本社 営業部
等
上記の他には、月給金額や労働日といった労働条件が簡単に明示されている場合があり、内定を受け入れる重要な判断材料となりますのでしっかりと確認しておきましょう。
そして企業から「働いてくれますか?」という問いかけに対して応募者は、
「よろしくお願いします」なのか「申し訳ありません」の返答をする必要があります。
応募者の方が、数多くの企業に対して就職活動や転職活動に取り組んでいることが殆どですので、内定通知書を出したとしても本当に入社するのか判断に困ることになります。その判断を明確にし、双方の合意による雇用契約を結ぶために内定承諾書があるのです。
「よろしくお願いします」と入社を決意した場合、この内定承諾書を企業側へ返送することで、内定に関する一通りの手続きが終了することになります。
内定承諾書を提出後でも辞退が可能なのか
内定承諾書を交わした後であっても、内定辞退をすることは可能です。
雇用契約は、企業側の意思表示を内定通知書により行い、応募者側の意思表示を内定承諾書にて行うことで成立します。
内定辞退、つまり一度交わした雇用契約の解約については、民法627条1項によって
(期間の定めのない雇用解約の申入れ)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
と定められています。
ですので実際に働き始める遅くとも2週間前までには、内定辞退を申し出ることが非常に大切です。
2週間を切ってしまっても、厳密に言えば内定辞退は可能ですが、内定者研修のような教育費用を損害賠償請求される可能性が少なからずありますし、モラルの観点から避けましょう。
内定の時こそ慎重な判断を
応募者からすれば、どの企業に就職するのか、人生が大きく変わる分岐点です。
しかし一方企業側にも、新しい人材を採用するには非常にコストや時間を費やすことになりますので、
内定通知書の意味や効力を正しく理解し、誠意をもって就職活動や転職活動に区切りをつけましょう。
*1:労働契約を口頭で行う場合には、労働条件を書面にて通知する必要はあります。